鍼灸師として開業するには、どのくらいの開業資金が必要なのでしょうか。開業の流れや、開業するために必要な資格なども気になるところです。また、その資金を調達するには、どうすればいいのかも説明しましょう。

■開業資金はどれくらい?

多くの場合鍼灸院を開業するには、テナントを借りて内装からやることになりますから、だいたい300万円から500万円くらいはかかります。テナントの広さや場所によっては、もっと安かったり高くなったりすることもありますが、だいたいこれくらいと思っておけば間違いありません。ちなみに、独立開業するには、開業資金のほかに最初の1年間の生活資金も用意しておいたほうがいいでしょう。

というのは、開業してすぐ繁盛することはまずないので、固定客がつくまではあまり収入になりません。たとえ無収入でも、1年くらいは生活できる程度の資金があれば安心です。1年のうちに、腕のいい鍼灸院だと評判になれば、口コミで次第に固定客が増えていきます。

しかし、そうなるまでには、最低でも数か月はかかると思ったほうがいいでしょう。順調にいった場合でもそれくらいかかりますから、やはり1年間無収入でも生活できるくらいのお金は、手元に置いておきたいものです。

■資金調達の方法

鍼灸院の開業資金を調達する方法はいくつかありますので、ひとつずつご紹介しましょう。

・すべて自己資金

開業資金500万円と、最初の1年間の運転資金として300万円くらい手元にあれば、どこにも借入せずに開業することができます。しかし、これだけのお金を用意できる人はなかなかいません。ある程度は貯金があったとしても、足りない分は別の方法で調達することになります。

・消費者金融

ほとんど自己資金でまかなえるけど、あと数十万円程度足りない場合は、消費者金融で借りてもいいでしょう。利息は高めですが、他の融資に比べるとほとんど審査なしで借入できるので簡単です。ただし、あくまでも少し資金が足りない場合に限ります。借入額が大きくなるようなら、消費者金融は避けるべきです。

・身内や知人から借りる

開業資金のうち、足りない分を身内や知人から借りる方法です。個人的な信用で貸してくれるので、借りるのは楽ですが、身内や知人だと、気安さからついつい返済期限を守らないことが多いものです。このため、返済をめぐって身内や知人と争いになりがちなので注意しましょう。

・銀行の融資

銀行から融資を受ける方法です。銀行に融資してもらうのはハードルが高いですが、基本的に銀行は担保さえしっかりしていれば融資してくれます。これを逆に言うと、担保がないと銀行の融資は受けられないということです。

・制度融資

制度融資による借入は、信用保証協会が信用保証を付けてくれるので、借りやすくなります。地方自治体によっては、行政が利息を一部負担してくれることもあります。融資額は上限2,000万円までで、金利は2.1%~2.7%ですから、かなり安くなっています。

融資限度額は、事業計画や自己資金額によって決まります。各都道府県に信用保証協会があるので、まずは問い合わせてみましょう。融資の相談は、地方自治体に窓口相談所があることが多く、商工会議所でも相談することができます。無担保で借入できるのが、制度融資の大きなメリットです。

・日本政策金融公庫

鍼灸院の開業で日本政策金融公庫を利用するには、国民生活事業の「新創業融資制度」に申し込みます。新創業融資制度のほかに「新規開業資金」もありますが、こちらは簡単には融資が下りないので、難易度の低い新創業融資制度を狙いましょう。上限1,000万円まで、金利1.25%~3.00%で借りられます。借入上限金額は、事業計画と自己資金によって決まります。

新創業融資制度で融資を受けるには、日本政策金融公庫各支店の国民生活事業に申し込みますが、必要書類はホームページからダウンロードできます。無担保で融資してもらえるのが、新創業融資制度の大きな強みです。

・マル経融資

マル経融資は、商工会議所の推薦によって受けることができる融資です。ただし、1年以上の事業実績が必要となるため、開業資金というより、開業後の運転資金として使うための融資です。開業してしばらくは収入が安定しないので、運転資金が底をつきそうになったら融資の相談をしてみましょう。

上限2,000万円まで借りられて、金利1.45%と安く返済が楽なのが特徴です。開業時は制度融資や公庫で借りて、1年後に金利が安いマル系融資に借り換えると返済が楽になります。

・創業促進補助金

経済産業省系の補助金で、上限200万円までと金額は低めですが、認定支援機関の確認書がないと申請できません。認定支援機関とは、金融機関、税理士、中小企業診断士などの団体です。応募するには、中小企業基盤整備機構のホームページから、「創業補助金」を検索して公募を探しましょう。

中小企業診断士、税理士に知り合いがいれば、公募があったときに教えてもらうことができます。開業前でも開業後でも申請できる上に、補助金なので返済する必要がありません。ただし、募集は不定期で、申し込み期間も限定されています。補助金をもらえるのは申し込み者のうち3割程度で、しかも補助金は後払いなので、手持ちに余裕がないと補助金が出たとしても、それまで持ちこたえられない可能性があります。

・再就職手当

雇用保険の受給資格者が、開業した場合にもらえる手当です。再就職手当という名目ですが、開業も再就職とみなしているわけです。厚生労働省系の補助金で、社会保険労務士の業務と関連しているので、知り合いに社会保健労務士がいたら詳しく聞いてみるといいでしょう。

 

 

■鍼灸院開業時の届け出

鍼灸師は、はり師やきゅう師の国家資格があれば、鍼灸院を開業することができます。ただし、開業にあたっていろんな規定や手続きがあります。まず、鍼灸院は最低でも6.6平方メートルの広さの施術室が要で、待合室も3.3平方メートル以上なくてはなりません。

つまり、鍼灸院を開くには、10平方メートル以上のスペースが必要になるわけです。また、鍼灸院の開業日から10日以内に、都道府県知事に届け出を提出する義務があります。届け出書類には、開業者の住所氏名、店の名称、業務の種類などを記載して、構造設備の内容や店の平面図も添えます。必要書類を準備するだけでも手間がかかりますので、事前に用意しておくといいでしょう。

■持っておくといい資格

鍼灸師として開業するには、最低限はり師ときゅう師の資格があれば間に合いますが、これ以外にも取得しておくと役に立つ資格があります。たとえば、あん摩マッサージ指圧師の資格も持っていると、鍼灸以外にも活動の幅を広げることが可能です。はり師ときゅう師だけなら鍼灸院としての開業しかできませんが、あん摩マッサージ指圧師の資格があれば、鍼灸マッサージ治療院として開業することができます。

また、柔道整復師の資格を持っていると、打撲や捻挫、脱臼などの治療も可能となります。柔道整復師がいる治療院には、スポーツで怪我をした人が来院するので、治療院としての幅が広がります。このように、治療の範囲を広げることができるので、開業後の安定を考えるなら、なるべく多くの資格を取得しておくのが得策です。

ただし、あまりに手を広げすぎて、何でも屋のように思われてしまうと、かえってマイナスなので注意しましょう。あくまでもメインは鍼灸院で、それ以外の治療は付録というスタンスのほうがうまくいきます。また、自分は鍼灸師に専念して、あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師の資格を持つ人と、共同で運営するのもひとつの方法です。

 

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