イタリア中央のアペニン山脈中の盆地に位置する、人口2,500人の小さな町・アマトリーチェ。
2016年8月24日午後3時半過ぎ、この中世の雰囲気残るのどかな田舎町を大きな地震が襲った。
マグニチュード(M)6.2のかなり強い地震で、就寝中の多くの住人ががれきの中に閉じ込められた。
人口の9%以上にあたる230名の死者を出し、多くの建物が崩壊しました。
被災により不安、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)といった精神障害を負う方も少なくありません。

この研究では、この中央イタリアのアマトリーチェの地震被災地で世界のロンバード医療鍼灸協会が行った鍼治療による支援から、被災者の痛みと心理的症状に対する鍼治療の効果を測定したレポートです。

レポート内容

概要:背景と目的:地震は、不安、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの重度の精神障害に関連しています。
PTSDの現在の第一選択療法には、よく知られている副作用があります。
鍼治療は、自然災害や公衆衛生上の出来事の後、患者が精神的な問題に対処するのを助けるための補完的なアプローチです。

この記事は、中央イタリアのアマトリーチェの地震被災地で世界のロンバード医療鍼灸師協会によって行われた鍼治療の介入について説明し、犠牲者の地震関連の痛みと心理的症状に対する鍼治療の効果を測定します。

方法:介入は2016年9月から10月までの5週間続きました。
精神症状と筋骨格痛のある成人患者が含まれていました。
治療は経験豊富な医療鍼灸師によって行われました。
介入の効果を定量化するために、口頭/数値の尺度が開発されました。
鍼治療の前後のスコアの比較には、ウィルコクソン順位和検定を使用しました。

結果:患者のうち、68.3%が痛みと精神症状の両方を持っていると報告しました。
最も頻繁に使用された経絡は腎臓(13.17%)で、次に大腸(12.46%)、脾臓(12.04%)、胆嚢(10.34%)が続きました。
毎日のセッションで3回の治療を行った後、患者の54.05%と60.6%が、それぞれ心理的症状と痛みの症状の著しい改善を報告しました。
統計分析は、痛み(P  = 0.000)と心理的症状(P  = 0.000)の両方について、最初の治療の前と3番目の治療の後に報告されたスコアの間に有意差を示しました。
重篤な有害事象は報告されていません。

結論:これらの結果は、鍼治療が地震に関連する痛みや心理的症状を軽減するための有用なツールである可能性があることを示唆していますが、この特定の分野ではさらなる研究が必要です。

「地震関連の心的外傷後ストレス障害に対する鍼治療に関する観察研究:中央イタリアのアマトリーチェでの世界の医療鍼灸師/鍼灸のロンバード協会の経験」

ソース:https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/acu.2018.1329

まとめ

このレポートにあるように、イタリアにおいても絶望的な状況の中でも鍼治療によって精神的な痛みをやわらげる有効なツールとしての可能性を示唆された。

日本では平成23年の東日本大震災、平成28年の熊本地震の際にも鍼灸師のボランティアが被災地支援として鍼灸治療を行ってきた。
医療現場が崩壊し、十分な資材・環境がなくとも、鍼・灸と鍼灸師がいれば施術を行うことができる。
こうした活動は様々な支援活動の中で報道されることは少ないが、現場で救われた人たちがいることは確かだ。