ローラー鍼は鍼灸の施術で使われる一般的な鍼とは異なり皮膚に刺入せず、先の丸くなっている金属の突起を、皮膚の上でコロコロと転がすようにして使います。

単にコロコロ転がしているだけでも心地よいものですが、場所によって使い方を変えることで、より効果を高めることが期待できます。

そこで今回は、ローラー鍼の効果と使い方について詳しく解説します。

ローラー鍼とは

ローラー鍼ローラー鍼は、「鍼」という名前こそ付いているものの、皮膚に刺入(刺すこと)することのない、新しいタイプの鍼灸用治療器具です。

ローラーにボツボツとした突起が無数に取り付けられていますが、その先端は鍼のようにとがっておらず、優しく肌を刺激できる構造になっています。

ローラー鍼に期待できる効果

ローラー鍼 効果ローラー鍼には鍼治療で用いられる鍼と同じような効果が期待されていますが、最近の研究によって、鍼では得られない効果も期待できることが分かってきています。

筋肉を緩める効果

鍼灸の施術所には多くの肩こり患者さんや腰痛患者さんが訪れますが、そのほとんどに筋肉の緊張(コリ)が見られます。

東京医科大学の研究によると、筋肉が固くなると筋阻血(きんそけつ:筋肉へ送られる血流が減少すること)が起こり、痛み物質が産み出されます。そして、痛み物質によって筋肉痛のような痛みが現れるわけです。

ただ、通常であれば痛み物質は時間とともに体外へと排出されるのですが、筋肉が固くなっていると血管が圧迫されるため、長くとどまってしまい、それが症状の慢性化につながるのです。

ローラー鍼を用いて固くなって筋肉を心地よく刺激することで、筋肉の緊張が緩和します。それによって痛み物質の排出を促進し、症状改善が期待できるのです。

新陳代謝を促進する効果

新陳代謝とは、古いものが新しいものへと生まれ変わることを意味しますが、私たちの体内では、細胞が生まれ変わりのことをさします。

新陳代謝が滞って細胞分裂が不活発になると、髪の毛のハリやコシが失われたり、肌荒れが見られるようになったりするので、疲れた印象や老けた印象を見る人に与えがちです。

ローラー鍼を使って局所を刺激することによって、血行を促進することが可能となります。血液は全身に酸素と栄養を運んでいるため、血行が良くなれば、栄養状態も改善することとなります。

その結果、新陳代謝が活発になり、髪のハリやコシを取り戻す効果や、肌荒れを改善する効果が期待できるのです。ローラー鍼が美容目的で使われるのはそのためです。

むくみを改善する効果

むくみは女性に多く見られる悩みの1つで、その多くが筋力不足や筋力の低下から起こります。特にふくらはぎの筋力が低下すると、ふくらはぎだけでなく、全身にむくみが現れやすくなります。

なぜなら、ふくらはぎの筋肉を使って、下半身の血液を心臓に送り返しているからです。そのため、ふくらはぎは「第2の心臓」などと呼ばれているのです。

ふくらはぎの筋肉をローラー鍼で刺激すると、停滞しがちなふくらはぎの血流を促進し、全身の血液循環を促進することができます。それによって、ふくらはぎだけでなく、全身のむくみを改善する効果が期待できるのです。

脳の状態を改善する効果

日本鍼灸学会の研究によって、ローラー鍼による刺激で脳波に変化が見られることが分かりました。鍼では見られなかった変化が、ローラー鍼によって見られたということです。

「合谷に与えられた持続的鍼刺激(雀啄)によっては、全例について同部位に著明な血流変化は認められなかったが、手掌のブラッシング刺激、もしくは小児に用いられるローラー鍼による刺激によって、対側第1次体性感覚野付近に安静時と有意な差を持つ血流変化が認められた。」

引用:脳の病気にも鍼灸が有効

この研究結果から、パーキンソン病や認知症などの脳の病気に、鍼灸治療が役に立つ日が来るのではないかと考えられています。

目的別!ローラー鍼の使い方

使い方ローラー鍼は、ただ漫然と気になる場所をコロコロしているだけで効果が期待できるのですが、目的ごとにローラー鍼の使い方を工夫することで、さらに高い効果を得ることが期待できます。

小顔目的の場合

ローラー鍼は美容目的で用いられることも多いのですが、特に小顔目的で用いられるケースが多いようです。

小顔治療や施術にはいろいろな方法がありますが、外科的な手術療法を除けば、そのほとんどが顔のむくみを取ることによって、顔を小さく見せることを目的としています。

顔には表情筋と呼ばれる筋肉がありますが、表情筋が硬くなることで顔の血管を圧迫し、血液の循環を阻害します。その結果、老廃物や疲労物質が滞り、顔のむくみにつながるのです。

そのため、ローラー鍼で小顔効果を得るためには、表情筋を緩めることが重要です。中でも咬筋(こうきん)という咀嚼筋の一種を緩めると、頬のたるみを解消し、リフトアップの効果が期待できます。

肩こりを緩和する場合

肩こりが気になる人に対しては、僧帽筋(そうぼうきん)と大円筋(だいえんきん)、そして小円筋(しょうえんきん)の緊張をよく緩めてあげるとよいでしょう。

・僧帽筋は首から肩甲骨、背中に渡って広がる大きな筋肉
・大円筋は肩甲骨の外側と二の腕を結ぶ筋肉
・小円筋は肋骨と肩甲骨を身体の前面で結ぶ筋肉

上記の筋肉が緊張すると肩甲骨が前方へスライドし、猫背気味になるため、肩こりを誘発します。そのため、これらの筋肉を意識してローラー鍼を転がすことで、効率よく肩こりを解消できます。

腰痛を緩和する場合

腰痛に悩まされている人に対しては、殿筋群(でんきんぐん:お尻の筋肉の総称)や、太腿の外側の筋肉のコリをローラー鍼で緩めてあげましょう。

お尻の筋肉や太ももの外側の筋肉は、筋膜を介して腰とつながっています。そのため、お尻の筋肉や太ももの筋肉が固くなることで、「結果として」腰痛を発症するのです。

病院や整形外科を受診しても、腰痛の85%が原因不明とされます。なぜなら、病院や整形外科では腰しか見てないからです。

むくみを解消する場合

むくみが気になる人には、腓腹筋を中心とした下腿の筋緊張を緩めてあげましょう。かかとの方からひざ裏に向かい、血液を流すようなイメージでローラー鍼を動かします。

また、デスクワークの人はハムストリングスの緊張も強くなっているので、太腿の裏も、ひざ裏から坐骨結節の方へ向かってローラー鍼で刺激してあげましょう。

ローラー鍼を使用する際の注意点

注意点

ローラー鍼は通常の鍼よりも低刺激なので、比較的気軽に使用できます。ただ、いくつかの注意点があります。

刺激量に気を付ける

ローラー鍼にもいくつか種類があり、刺激量も強いものから弱いものまで様々です。

ローラー鍼に限ったことではありませんが、あまりにも強い刺激を与えすぎると、かゆみを発することがあります。

音が気になる場合はオイルを利用する

顔にローラー鍼を用いた場合、人によってはローラーの回転音が気になることもあるでしょう。

そんな時には身体に無害なキャリアオイルなどを用いて、回転を滑らかにするとよいでしょう。

ローラー鍼を選ぶ際のポイント

ポイントローラー鍼にもいろいろなタイプがありますが、何を基準として選べばよいのでしょうか。

長さ

ローラー鍼の長さによって得られる効果が変わる訳ではありませんが、自分の手の大きさに合ったローラー鍼を選ぶとよいでしょう。手に合わない大きさのローラー鍼を使っていると、手が疲れてしまいます。

刺激量

ローラー鍼は先端の形状によって、弱刺激から強刺激までいろいろなタイプがあります。

顔に用いるのであれば弱刺激のものを、その他の部位に用いるのであれば、強刺激のものを選ぶとよいでしょう。

ローラー鍼はこんな方におすすめ

おすすめローラー鍼は誰に対しても効果が期待できますが、特に以下のような方におすすめです。

小さな子供

鍼灸院にも小さなお子さんが来られますが、通常の鍼は子供にとって怖いものです。そんな時にはローラー鍼がおすすめです。

美容目的の女性

ローラー鍼には血行を促進し、新陳代謝を活発にする効果が期待されています。そのため、美容目的の女性にもおすすめです。

鍼が怖い方

「鍼治療には興味があるけど、鍼を身体にさすのは怖い」という方にもローラー鍼がおすすめです。

ローラー鍼で鍼治療に慣れてから、刺入するタイプの鍼に移行するのも良いでしょう。

まとめ

・ローラー鍼は皮膚の表面を優しく刺激するための治療器具
・ローラー鍼には様々な健康効果や美容効果が期待できる
・ローラー鍼は同じ場所に対して長時間使い過ぎないよう気を付ける

・ローラー鍼は鍼が苦手な人にもおすすめ

ローラー鍼で優しく皮膚を刺激すると、血行が促進できるため、新陳代謝を活発にしたり、固くなった筋肉を緩めたりする効果が期待できます。そのため、健康目的美容目的でローラー鍼を利用するとよいでしょう。

ただし、ローラー鍼を同じ場所に対して、長時間使い過ぎないようにしましょう。それ以外は特に注意点のないローラー鍼なので、使い方を工夫して、いろいろな症例に対処しましょう。