人間の筋肉は、ストレスを感じたときに動きが鈍くなるとされています。キネシオロジーは、筋肉の動きを調整することで、ストレスに対する自然治癒力を高めるための治療法です。

本記事では、キネシオロジーの概念や効果に加えて、筋肉の動きをサポートするキネシオロジーテープについてご紹介します。

キネシオロジーとは

最初に、キネシオロジーとは具体的にどのような意味を持つ言葉なのか、語源と合わせて解説します。

身体運動の科学的研究

キネシオロジーは、ギリシャ語で運動や動作を表すキネシス(kinesis)と、学問を表すロゴス(logos)を合成した言葉です。一言でいうと「身体運動の科学的研究」と表現できる言葉ですが、これはもともと人間の運動について研究する運動学として広まったものです。

1964年に、アメリカで「アプライドキネシオロジー」という治療方法が研究発表されました。これは、筋力テストの結果で身体機能を評価するというものです。

その後1974年には、筋反射によって身体のバランスを整える「タッチフォーヘルス」が発表され、この反射テストを活用したキネシオロジーが広まりました。

2024年現在では、キネシオロジーを活用している国の数は110か国以上にも及び、筋肉に関する問題を改善する治療法として定着しています。

治療法の一種

キネシオロジーは筋反射に注目した治療法であり、西洋医学や東洋医学だけでなく、心理学・栄養学・カイロプラクティックなどの要素を取り入れている点が大きな特徴です。運動学を基にしており、「身体はひとつ」との考え方から、構造(筋肉や骨格)・化学(栄養や食事)・精神(感情やストレス)の3つのバランスを整えることを目的としています。

現代社会には、さまざまなストレスがあふれています。人間の心と身体は密接につながっていることから、身体がストレスに敏感に反応すると筋反射が起こり、バランスを崩しやすくなるのです。

筋反射が起こる原因は、身体の構造や栄養素の欠乏、精神的な不安、疲労など多岐にわたります。筋反射は、筋肉・筋膜・じん帯・腱といった軟部組織の異常を引き起こし、腰痛や肩こりの原因となるだけでなく、全身もしくは身体の一部分に筋力低下が発生するのです。

キネシオロジーを取り入れることで、人間が本来持っている自然治癒力を引き出し、適切に対処することで症状の改善につなげます。

キネシオロジーは、筋肉の機能回復を促すマッサージとは根本的に治療法が異なります。西洋医学の治療法を取り入れても改善が見られない場合に、原因を探る手段として用いられるのです。

キネシオロジーの効果

キネシオロジーが世界中で取り入れられているのは、大きな効果が期待できるからです。キネシオロジーで期待できる主な効果は、以下の4つです。

ストレスを感知できる

キネシオロジーの効果のひとつに、ストレスを感知できる点が挙げられます。キネシオロジーで分かる筋反射によって、その人が受けているストレスのタイプを知ることができます。

ストレスには、以下のようにさまざまな種類があります。

精神的ストレス(人間関係・仕事上のトラブル・家庭内の不和など)
物理的ストレス(温度変化・季節の変わり目に起こる気圧変化・電車のラッシュ・騒音など)
化学的ストレス(薬の服用・大気汚染など)

キネシオロジーは、表面に見えている症状を取り除く効果だけでなく、潜在しているストレスの解消にも役立ちます。キネシオロジーにおけるタッチフォーヘルスでは、身体に流れる14の経路を調べて筋反射を確かめたうえで、どのように身体全体のバランスを整えたら良いのかを探ります。

例えば、慢性疲労が起こるのにはさまざまな原因が考えられますが、キネシオロジーによってストレスの原因を特定できると、症状の改善の糸口が見えてくるでしょう。

また、ストレスを感知することで、スポーツの場面で実力を発揮できるようになります。筋肉のバランスを整えると心のバランスも整うだけでなく、痛みやケガなどに対するトラウマの克服を見込めます。

身体への負担が少ない

キネシオロジーは、身体への負担が少ない特徴があります。施術の際に特別な道具は使わず、マッサージや指圧のように身体を圧迫することもありません。

人間の身体は、ドーゼと呼ばれる刺激量が一人ひとり決まっており、過度な刺激を与えるとドーゼオーバーという刺激量過多の状態になってしまいます。鍼治療を受けられた経験がある方は、施術後にだるさや眠気などを感じたかも知れませんが、これがドーゼオーバーの症状です。マッサージ後に感じるもみ返しも、ドーゼオーバーだと考えられます。

ドーゼオーバーを防ぐには、強い刺激と弱い刺激のバランスを取りながら施術することが大切です。キネシオロジーでは筋肉の状態や変化を見極めながら施術するため、ドーゼオーバーが起こりにくく、身体への負担も最低限に抑えられます。

自己治癒力を高められる

キネシオロジーは、自己治癒力を高める効果が期待できる施術方法です。

痛みによって自律神経が乱れて、回復力を低下させることから、キネシオロジーの施術前には自律神経の検査が重要です。施術では、筋反射の状態によって心身の状況を確認し、体調不良の原因を探り出します。

心が肉体に及ぼす影響は9割にも及ぶとされており、脳にストレスがかかることで筋肉が弱化する症状によって身体の状態を見極めるのです。

つまり、脳のストレスを取り除くと筋肉の弱化が緩和され、患者さんが本来持っている自己治癒力が高まります。3つのバランスの要素である精神を安定させて、精神と化学とのバランスが元に戻ると、不調からの回復を期待できます。

人間が持つ自己治癒力とは、すり傷が自然にきれいに治ったり、風邪を引いたときに暖かくして寝ていると治ったりするなどの生命力です。自己治癒力の三大要素は、以下のとおりです。

自己免疫力(病原菌などから体を守る)
恒常性維持力(体の機能を正常に保つ)
自己再生力(傷んだ細胞を修復する)

キネシオロジーにおける自己治癒力は、上記のうち恒常性維持力に該当します。ストレスと筋反射の相互関係を解除して機能を復元することで、自己治癒力が高まります。

症状を原因から取り除ける

キネシオロジー術では、表面に出ている筋反射の症状を緩和させるために、症状の原因も探りながら施術を行います。ここまで紹介したように、筋反射が起こるのにはさまざまな原因が考えられますが、原因を突き止めることで症状の早期改善が見込まれるためです。

例えば、骨格に近い部位に筋反射の症状が見られる場合、その部位に触れることで全身の筋力が弱くなるほか、不安なことを考えたときにも全身の筋力は弱くなります。特定の部位に触れると筋力低下反応が起こることから、原因を探し当てられるのです。

原因が分かると、最適な対処方法が調べられて、施術方法や摂取すべき栄養素など患者さんにあった改善策を立てることができます。

キネシオロジーでは、筋反射の原因に気づいていない患者さんも多く見られます。疲労という症状ひとつをとっても、考えられる原因は栄養不足や睡眠不足・精神的な問題など多岐にわたります。症状を取り除くためには、まず原因をはっきりさせることが必要なのです。

キネシオロジーテープとその効果

キネシオロジーの効果を引き出すには、キネシオロジーテープの使用がおすすめです。キネシオロジーテープとはどのようなテープで、通常のテーピングと違う点はどこにあるのでしょうか。

キネシオロジーテープとは

キネシオロジーテープは、「人工筋肉テープ」とも呼ばれています。キネシオロジーの基本となる運動学を基にしており、筋肉をサポートするために身体の各部に貼るテープです。

健康な筋肉の伸縮率に近い特性を持っており、筋肉の動きにそってテープが伸び縮みすることで筋肉を保護したり、動作をサポートしたりする役割があります。スポーツにおけるケガのみならず、日常生活で発生した痛みを和らげる効果も期待できます。

通常のテーピングとの違い

キネシオロジーテープと通常のテーピングの違いは、完全に固定するかしないかという点にあります。キネシオロジーテープは、筋肉の伸び縮みをサポートするために筋肉にそって貼ります。一方、通常のテーピングは関節を固定して保護し、ケガの予防や再発防止を目的とした処置方法です。

例えば、スポーツ中に足首を捻挫した場合、軽度であればテーピングを使って足首を完全に固めて、プレイを続行できる場合があります。このケースでは、キネシオロジーテープは効果を発揮しません。一方で、スポーツ中に足がつるのを予防したい場合は、キネシオロジーテープの利用が適しており、通常のテーピングでは役目を果たさないのです。

キネシオロジーテープの仕組み

症状を改善したい場所の筋肉にキネシオロジーテープを貼ると、筋肉が引っ張られて皮膚とその下の組織間にごくわずかな隙間が生まれます。この隙間から血液やリンパ液がスムーズに流れると、患部に溜まっている痛みの物質をスムーズに排出できます。

排出後、血液に酸素や栄養素が多く含まれるようになると、新陳代謝が促されて、症状の改善が見込まれるのです。

キネシオロジーテープの使用で期待できる効果とは

キネシオロジーテープの使用により、主に以下の効果が期待できます。

筋肉の機能を正常に戻す

キネシオロジーテープを貼ると、テープが筋肉の役割を補います。これにより、弱っている筋肉を回復させたり、伸び過ぎ・縮み過ぎとなった筋肉を元に戻したりする効果があります。運動前にキネシオロジーテープを貼ると、筋肉痛や肉離れなどのケガを予防できます。

関節のズレを補正する

キネシオロジーテープは、関節のズレを補正する効果も期待できます。関節とつながっている筋肉や靭帯がバランスを崩して引っ張り合ってしまうと、関節のズレが生じます。このズレを補正するには、キネシオロジーテープを使ってバランスを整えるのが効果的です。

痛みを抑える

神経学では、筋肉や皮膚を刺激すると痛みを抑える効果が期待できるといわれています。キネシオロジーテープを使うことでこの効果が発揮され、人間が持つ自己治癒力が活性化されます。

キネシオロジーテープの効果的な使い方と注意点

キネシオロジーテープの効果を高めるには、正しい貼り方と注意点を理解しておくことが必要です。ここでご紹介する貼り方をしっかりと覚えておいてください。

キネシオロジーテープの貼り方

キネシオロジーテープは、テープを引っ張った状態で貼るのではなく、基本的に貼りたい箇所へ置くという意識を忘れないようにしましょう。テーピングのようにテープを引っ張って貼ると、キネシオロジーテープの効果が発揮されなくなります。

筋肉の流れに沿ってキネシオロジーテープを置いたら、上から軽くさすって固定しましょう。筋肉が収縮するタイミングで、キネシオロジーテープにシワができる程度の貼り方が目安です。

キネシオロジーテープを使う際の注意点

キネシオロジテープを貼る前に、必ず患部を清潔にしておきましょう。できればアルコールで消毒するのがベストです。汗や皮脂が残ったまま貼ってしまうと、接着力が弱まる原因となります。

テープを毎日貼り替える必要はありませんが、かぶれなどを防ぐために数日で貼り替えるのがおすすめです。貼ったままでも入浴は可能ですが、タオルを使ってしっかりと水分を拭き取りましょう。

運動後に汗の塩分がテープに残ると、かぶれが発生しやすくなるため、必ずはがしましょう。かぶれが発生したら、すぐに使用を中止してください。

テープをはがす時は、一気にはがすと痛みを感じるため、貼っている箇所の皮膚を押さえながら皮膚に沿ってはがすのがおすすめです。

キネシオロジーテープを選ぶポイント

キネシオロジーテープの太さは、25mm・38mm・50mm・75mmの4種類が一般的であり、貼る部位の筋肉や関節の大きさに合ったテープを選ぶことが大切です。

キネシオロジーテープは通気性に優れていますが、肌が弱い方には負担になってしまうこともあります。特殊粘着剤を使った弱肌タイプのテープもありますので、心配される患者さんにご提案してみても良いでしょう。

まとめ

本記事でご紹介したように、キネシオロジーテープは筋肉の動きをサポートするためのテープです。運動中のサポートやケガの早期回復など、さまざまな場面でキネシオロジーテープが活用されています。

キネシオロジーテープを施術に取り入れようか検討されている先生方は、ぜひメイプル名古屋までお問い合わせください。

メイプル名古屋では豊富な種類のキネシオロジーテープを取り扱っており、お急ぎのご注文や分納などのご要望にできる限りお応えいたします。お問い合わせいただきましたら、種類や価格などをご案内いたしますので、まずは一度ご相談ください。

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