開業した鍼灸院を安定的に経営し、充分な収益を上げていくためには、新規患者数を増やす取り組みが欠かせません。自院の強みや腕の良さを継続的に訴求し、お客様に長く通ってもらえるように集患しましょう。

当記事では、鍼灸院における新患獲得の重要性や効果的な集客方法について解説します。集客の際の注意点についても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

鍼灸院の新患獲得の重要性

鍼灸院経営においては、新患獲得施策は必須といっても過言ではありません。なぜなら、どれだけ優れた医療サービスを提供できても、それをお客様に認知されていない状態では思うように集客を促せず、経営が立ち行かなくなってしまう可能性が高いためです。

せっかくコストや時間をかけて開業した鍼灸院を潰さないためにも、ターゲットとなるユーザー層に自院の魅力をしっかり伝えて、認知してもらう必要があります。

新患獲得が鍼灸院経営に与える影響

鍼灸院は、基本的に立地を移動できないビジネスです。立地を移動できない以上、来院してもらえる可能性のあるお客様の人数は、ある程度予想できます。例えば、駐車場がある鍼灸院であれば、車で来られる距離にお住いの方々になります。一方、駅前の立地の場合は、駅周辺にお住まいの方に加えて、通学・通勤など駅を頻繁に使用する方々になります。

商圏が決まっている以上、何かしらの施策を施さなければ、いつか新患は尽きます。また、お客様に来院いただけないと、商圏内の母数が減ることにもつながります。

定期的な新患獲得が鍼灸院の収益につながる理由

売り上げをコンスタントに上げ続けるためには、一定数のリピーターを確保し続けることが重要です。もちろん、新患が獲得できなければ、経営は徐々に先細ってしまいます。

しかしながら、新患は毎月必ず訪れるわけではありません。定期的に繰り返し通院してくれるリピーター患者がいることで、売上の見通しも立つようになります。

このような既存患者からもたらされる利益について、マーケティングでは「1:5の法則」と呼んでいます。「1:5の法則」とは、新規患者を獲得するには、既存患者を維持する5倍のコストがかかるという法則のことです。言い換えると、既存患者は新規患者を集める5分の1のコストで得ることが可能なのです。

コストは有限なため、長期的に安定した経営を実現するためには、集患の仕組みをしっかりと理解しておく必要があると言えるでしょう。

新患獲得のための効果的な集客方法(オンライン)

鍼灸院の新患獲得のための集客方法には、主にオンラインとオフラインの2つがあります。まずは、オンラインによる効果的な集客方法を紹介します。

  • ホームページ制作
  • SEO対策
  • MEO対策
  • SNSの活用
  • 集客サービスを利用する

ホームページ制作

店舗のホームページは、オンライン集客のベースとなるものです。ホームページの制作にあたっては、住所や電話番号などの店舗の基本情報はもちろん、メニューや料金、効果や過去の実績といったコンテンツを充実させることがポイントです。

また、スタッフ紹介やお客様の声などのリアルな情報を盛り込むのもおすすめです。店舗のイメージをホームページからも伝えられるように、コンセプトにマッチした写真などを積極的に使用しましょう。

もしも、自院でホームページを制作するのが難しい場合は、ホームページ制作会社に依頼するのもひとつの方法です。ホームページ制作会社では、プロのWebデザイナーがおしゃれで使いやすいホームページを制作してくれるため、自院の魅力を最大限にアピールできます。

SEO対策

SEOは「Search Engine Optimization」の略称で、「検索エンジン最適化」を意味します。具体的には、自社のWebサイトが検索結果の上位に表示されるように、Googleなどの検索エンジンの評価アルゴリズムを考慮して、さまざまな対策を講じることを言います。

SEO対策のメリットは、検索結果の上位に表示されることで、コストをかけずに集客し続けられる点です。また、上位表示されることによってユーザーの目に留まる機会も増加するため、自院の認知度拡大やブランド力の向上といった効果も期待できます。

MEO対策

MEOは「Map Engine Optimization」の略称で、「マップエンジン最適化」を意味します。具体的には、Googleマップで自社のビジネス情報や店舗情報が上位表示されるように、検索アルゴリズムに沿って最適化することを指します。ユーザーがGoogleマップで近隣の鍼灸院を検索した際に、自院が目立つ場所に表示されることで、新規患者を集客できる可能性が高まります。

SNSの活用

SNSを活用した集客とは、InstagramやTikTokなどのSNS投稿を通して店舗の宣伝を行い、集客につなげる方法です。ユーザーが思わず目を引くような投稿をして話題性を呼んだり、フォロワーに対してお得情報を発信したりすることで、集客力の向上が期待できます。

集客サービスを利用する

集客につながるサイトに登録することも有効な方法です。鍼灸院の集客に効果的なサービスとして、「EPARK」や「しんきゅうネット」などが挙げられます。このようなサービスは、希望のエリアから鍼灸院を探してその場でネット予約できるため、新規患者の方でも抵抗なく予約がしやすい特徴があります。

新規患者の集客を増やすためには、自院の存在を知ってもらうことが大切なため、集客サービスの活用を検討してみましょう。

新患獲得のための効果的な集客方法(オフライン)

オフラインによる集客方法には、以下の4つがあります。

  • チラシ
  • 看板
  • 口コミ
  • 地域活動

近年はオンラインによる集客が注目されがちですが、地元客を主なターゲットとする鍼灸院においては、オフラインでの集客も大変重要です。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

チラシ・ポスティング

インターネットを活用した集客と比べて、チラシやポスティングは、自院のある地域に限定した集中的な宣伝を行える点がメリットです。ただし、チラシの印刷やポスティング作業にはコストがかかります。そのため、どの地域や範囲にポスティングをすれば高い宣伝効果が見込めるのかを、継続的に分析しながら実施する必要があります。

看板

屋外に設置する看板は、道行く人に店舗へ興味を持ってもらったり、店舗の場所を知ってもらったりできる優秀な集客ツールです。目立たせることに成功できれば、長期間に渡って、不特定多数に広く自院をアピールすることが可能です。

ただし大前提として、看板は見てもらえなければ効力を発揮できません。自院の存在を知ってもらうためにも、まず看板を認識してもらう必要があります。不特定多数の人が見る屋外看板には、文字の色や大きさ、設置する場所など、誰にとっても見やすい工夫が求められます。

口コミ

口コミによる集客とは、店舗に来院したことがある方が店舗の感想を他人に伝えて、新規患者が集まることを指します。

口コミによる情報は、ユーザーに信頼されやすい傾向があります。多くの口コミを集めることで、新規・リポーターを問わず来院を促せるため、集客マーケティングにおいては非常に重要な施策となっています。

ただし、口コミの数が極端に少なかったり、昔の情報しか載っていなかったりすると、ユーザーから信頼されにくいものです。そのため、一定数の収集・アップデートをしていく必要があります。また、一度投稿された口コミは、ずっと資産になるわけではないため、常に口コミ収集に向けた動きが必要となります。

地域活動

地域活動や地元のイベントに参加して、鍼灸を体験してもらうのもひとつの手です。本格的な施術ではなく簡易的なものでも、サービスの雰囲気を伝えることが可能です。

また、地域活動が自院に興味を持ってもらえるきっかけになれば、新規患者が来院する可能性も十分に考えられます。自院の存在やサービスを知ってもらうためにも、地域活動にも力を入れて取り組みましょう。

集客の際の注意点

新患を集客する際には、以下の4つの注意点に気を付けることが重要です。

  • 広告規制
  • 口コミやレビューを重視する
  • 費用対効果を測定する
  • キャパシティを考えた集客を行う

効果的な集客を実現するためにも、ここで注意点について理解を深めましょう。

広告規制

広告規制とは、事業者があらゆる手段で顧客を勧誘する際に、「騙す」「著しくお得だと勘違いさせる」などして、消費者に不利益を与えることがないように設けられた規制です。鍼灸院における広告規制は、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律第7条第1項」で定められており、以下の要件以外の事柄は広告に記載できません。

  • 業務の種類(はり業・きゅう業)
  • 施術所の名称・電話番号・所在の場所を表示する事項
  • 施術者である旨・施術者の氏名・住所
  • 施術日・施術時間
  • 休日・夜間における施術の実施
  • 予約に基づく施術の実施
  • もみりょうじ・やいと・えつ小児鍼(はり)
  • 出張による施術の実施
  • 駐車設備に関する事項

なお、鍼灸院でやってしまいがちなNGな広告宣伝例としては、「〇〇(病気名)の根本治療に効果があります」というような、医学的根拠のない内容が挙げられます。また、「いまなら期間限定で〇〇円OFF」といった割引についての宣伝も規制の対象です。
※参照:厚生労働省「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」

口コミやレビューを重視する

インターネットやSNSの利用者増加により、近年では一般消費者同士が共有する口コミを頼りに、商品やサービスを購入する人が増えつつあります。

実際に、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が行った調査によると、商品やサービスの購入時に最も信頼する情報源として口コミを重視している人は、全体の46.5%にものぼることが分かりました。

※参照:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「口コミサイト・ インフルエンサーマーケティング に関するアンケート結果」

しかし、口コミが大事だからといって、ポジティブな感想のみを掲示することは得策ではありません。良いことばかり書かれていると、「ステルマーケティングでは?」と疑うユーザーもいます。反対に、ネガティブなことも書かれていることで、口コミの内容に信憑性が出てリアリティーが伝わります。

そのため、口コミを収集する際は、良い口コミ悪い口コミに関わらず、自然な形で多くの口コミを集める必要があります。

また、口コミにはマイナスな意見を寄せられる場合もあります。悪い口コミが書かれるネットに記載されるリスクも理解して、マイナスな口コミに対する対応をシミュレーションしておいた方が良いでしょう。

費用対効果を測定する

「費用対効果」とは、商品やサービスの売り上げを拡大するためにコストを費やして行った施策が、実際にどれくらい効果があったのかを表す指標のことです。

広告が、どれくらい売上に貢献しているかを把握するうえでは、「ROAS(ロアス)」を活用します。ROASとは「Return On Advertising Spend」の略称で、投資収益率や投資利益率のことです。

ROASは、「広告からの売上÷広告費×100(%)」で算出でき、ROASの数値が高くなるほど、広告の売上に対する貢献度が高いと判断できます。

広告費用対効果を適切に把握することは、売上予測や予算配分を行ううえで重要になるため、より良い店舗運営につなげるためには欠かせない指標です。

キャパシティを考えた集客を行う

新規患者を取り込むことに注力するあまり、既存患者をないがしろにしてしまうのは絶対に避けたいものです。あくまでも、今来院してくれている患者様を大切にしつつ、新たな患者様を呼び込むようにしましょう。

また、店舗のキャパシティを考慮することも重要です。新規患者に対応するだけの時間的・人員的リソースに余裕がないときは、集客を中断するようにしてください。

メイプル名古屋の新患獲得支援

今回は、鍼灸院の集客方法についてお伝えしました。近年は、あらかじめインターネットなどで情報を収集する患者も多くなっています。そのため、ホームページなどで積極的に情報を発信しないと、来院の選択肢にすら入らない可能性も否定できません。

立地の特性も考慮しながら、オンライン集客が良いのかオフライン集客が良いのか、より適切な方法を検討しましょう。

メイプル名古屋では、鍼灸院・接骨院の新規開業に必要な商品を多数取り揃えています。また、開業プランについても専任のスタッフが手取り足取りサポートします。

周辺の市場調査やリース会社の紹介も行っておりますので、少しでも気になる方は、お気軽にお問い合わせください。

【ケース別】新患獲得に関するQ&A

Q.緊急性が高い患者さんへのアプローチの方法は?

A.緊急性が高い治療にも対応している旨をホームページに記載

ひとつの方法として、ホームページや看板に、緊急性が高い治療にも対応している旨を記載する方法があります。また、早朝・深夜営業にも対応している場合は、営業時間を目立たせることで、緊急性が高い患者様も足を運びやすくなることが期待できます。

Q.慢性的な症状を持つ患者へのアプローチの方法は?

:A.文言やデザインを工夫して他院との差別化を図る

数ある鍼灸院のなかから、自院を選んでもらうためには、他の鍼灸院との差別化を図る必要があります。例えば、自院の魅力をアピールできるように、写真やイラストを取り入れたり、目に留まりやすいように文言やデザインを工夫したりしてみると良いでしょう。

Q.セカンドオピニオンを求めている患者へのアプローチの方法は?

A.カウンセリングや施術方針の相談に力を入れていることを訴求

カウンセリングや施術方針の相談に力を入れていることを訴求することで、セカンドオピニオンを求めている患者へ効果的にアピールできます。また、個室のカウンセリングルームなどを用意するのも良いでしょう。