仕事やスポーツ、事故などによる肋骨骨折や、日常生活における転倒などによって生じる肋骨骨折や上腕骨近位端骨折には、治療にバストバンドが使用されます。
しかし、使い方を間違えると、呼吸が苦しくなったり、痒みなどを伴う皮膚トラブルを生じたりする可能性があるため注意が必要です。

この記事では、バストバンドの正しい固定の方法や使用時の注意点を解説しています。
また、Q&Aの項目では使用に関する質問や疑問と対応や方法を紹介していますので、ぜひ参考にお読みください。

 

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バストバンドとは?

バストバンドとは、主に肋骨骨折の治療である保存療法に用いられる胸部固定帯の1つです。
肋骨骨折のほか、胸部手術後や胸郭の固定、上腕骨頸部骨折(じょうわんこつきんいたんこっせつ)などの上胸固定で使用されます。バストバンド自体に伸縮性があるため、どのような体型の患者にも使用ができて、マジックテープで固定できる着脱のしやすさが特徴です。

 

バストバンドの目的・効果について

肋骨骨折が完治するまでの期間は、およそ4〜6週間です。そのうち4週間は、バストバンドなどによる固定が必要とされています。その目的は、骨折部を保護し安静を保つことです。骨折部の損傷具合にもよりますが、少し動いただけでも激しい痛みを伴うことがほとんどです。そのためバストバンドによって固定を行い、骨折部位の変形予防や矯正と、痛みの軽減、関節の保持などを図ります。

また、装着方法もそれほど難しくはありません。一般的に良く知られているコルセットと同じ感覚で、胸部に巻いて肋骨に圧力を加え、骨折部を固定します。

バストバンドの装着方法について(肋骨骨折の場合)

バストバンドの装着の仕方は、骨折している部位により多少異なります。まずは肋骨骨折の装着方法を説明する前に、肋骨骨折が起きる状況を確認してみましょう。

〈考えられる要因〉 
肋骨骨折は交通事故などの外傷や転倒、転落などが原因と考える人が多いかもしれませんが、そのきっかけは日常の身近な場面にも潜んでいます。咳をした拍子や、ゴルフのスイングなどでも疲労骨折を起こす場合があるほどです。

〈症状〉
肋骨骨折は胸を囲っている肋骨にひびが入ったり、折れたりした状態です。一部が骨折する場合、いくつかの骨折が同時に起こることもあります。原因はさまざまですが、年齢問わずに骨折する可能性はあります。

骨折していると、骨折部の痛みや圧迫されているような痛み、腫脹・皮下出血・腫脹が見られます。また、骨折部を軽く圧迫すると、骨がきしむような音がする場合もあります。 肩を動かしたり体を反らせたりすると強い痛みを感じるほか、深呼吸や咳をするときにも痛みがあり、日常生活に支障が出ることが多いです。

〈治療〉
肋骨骨折では保存的治療を基本としていて、肋骨により守られている肺や心臓、血管に損傷が伴わない肋骨骨折の場合には、バンドで固定します。また、不全骨折(ヒビ)やレントゲンに写らない小さな骨折、打撲の場合でも、バストバンドを用いることがあります。

肋骨骨折の多くは2〜3週間ほどで骨折部分が回復してくるため、その間はバストバンドで固定し、痛みの緩和を図るのがほとんどです。肋骨骨折で痛みを生じるのは、呼吸により肋骨が動き出すためで、固定をするとかなり楽になります。また、バンドをしても骨折部の痛みが強い場合は、鎮痛剤やシップを併用したり、激しい骨折の際は手術を行ったりするケースが稀(まれ)にあります。

 

肌着の上から着用する

治療でバストバンドを使用する際は、巻き方を間違えると皮膚トラブルや循環障害を起こすおそれがあります。
肌に直接装着すると、バンド素材と肌が擦れて、皮膚の発赤や痒みなどを生じやすくなります。そのため、バストバンド使用時は十分に注意をして、必ず肌着を着用した上から固定しましょう。

 

広い帯面が骨折部にくるよう取り付ける

装着する際は患部(骨折部)に伸縮性のない部分(広い帯面)を当てて、グルリと体に巻き付けます。患部はバンドで動きづらくなりますが、それ以外はバンドが伸び縮みするため動きやすいです。この段階ではまだ、きっちりと固定することにこだわらなくても大丈夫です。

 

息を吸い込んだタイミングで上部のマジックテープをとめる

次に、上部テープのとめ方ですが、息を吸うと肺が膨らむことを忘れずにとめることが大切です。バストバンドを巻いた後に呼吸がしづらくないよう、深く息を吸い込んだ時点で上部のテープを止めます。

 

息を吐いたタイミングで下部のマジックテープをとめる

続いて下部のテープをとめる際は、完全に息を吐き、再度息を深く吸ってからもう一度吐き切った時にテープを固定します。
上部と異なる理由は、下部のマジックテープの位置がウエスト部分に近いため、上のテープと同じようにしてとめると緩くなってしまい、固定している状態ではなくなるためです。必ず息を吐き切ったときに、下部のテープをとめるよう注意してください。

 

バストバンドの装着方法について(上腕骨近位端骨折の場合)

 

上腕骨近位端骨折とは、転んで地面や床に手を伸ばしてついたり、肩を打ったりしたときに、上腕骨の肩に近い部分が骨折した状態です。上腕骨は二の腕の骨の部分、近位端は付け根に近い部分にあたります。これは加齢により弱くなる部分でもあり、骨粗鬆症を患う高齢者には特に多く、4大骨折に上げられるほどです。
転倒した際に軽く肩を打ったり、家具にぶつかったりしただけで骨折することもあります。

〈症状〉
骨折すると当日から2〜3日後には皮下出血が肩〜胸部、上腕に広がり、これらが目に見えて確認できるようになります。患者本人は、肩や腕を上げるのが辛い、痛みがある、腕を上げたりひねったりする行動ができなくなるなどの症状が現れて、日常生活にも大きな支障が出始めるでしょう。

〈治療〉
上腕骨近位端骨折の治療法は、転位のない骨折の場合、基本は保存療法となります。これには個人差がありますが、三角巾とバストバンドをしようして3〜4週間ほど上肢を体に固定させる治療法です。
この骨折での後遺症には肩の拘縮が大きく関わるため、最近では患部の状態を見ながら、早期から振り子運動を行うことが多くなっています。固定による手指の腫れを軽減させるためにも、痛みや腫れの程度に応じて手指のリハビリもスタートすることが多いようです。

なお、上腕骨近位端骨折では肋骨骨折と違い、まず骨折している側の腕を三角巾に乗せます。その後、三角巾を体にくっつけて、その上からバストバンドを巻きます。片手の状態でバンドを自分自身に巻くことは難しいため、病院では医療関係者、自宅では家族に巻いてもらう必要があります。そのため、一緒に暮らす家族にも巻き方を覚えてもらいましょう。

 

肌着の上から着用する

肋骨骨折の際と同じく、三角巾とバストバンドが直接肌に触れないよう、必ず下着やパジャマなどを身につけてから装着します。腕を三角巾で固定すると包帯で肌が擦れてしまう可能性も考えられるため、タンクトップやキャミソールなどは避けて、袖のある服を着用するほうが良いでしょう。

 

三角巾を装着する

正しい装着の仕方は、肘に三角巾の頂点がくるようにして当て、両端を首の後ろで結んで首から吊ります。このあと、頂点は内側に折り込んでおきましょう。骨折している腕を乗せる際は腕が下垂しないよう、手首側が肘より少し上になるように結びます。こうすることで神経の圧迫を防ぎ、しびれを抑えられます。

 

三角巾の上からバストバンドを装着する

体幹側面に三角巾に乗せた上腕をぴったりくっつけて、その上からバストバンドを装着します。腕と体を一緒に巻き付けた状態をイメージすると、分かりやすいでしょう。
きつ過ぎたり、緩すぎたりすると呼吸の妨げとなるため、肋骨骨折の際と同じく息を吸った時に上部のテープを止めて、吐いたときに下部のテープをとめて固定しましょう。

 

下部のテープは患側を包み込むようにして止める

上腕骨近位端骨折ではテープのとめ方にコツがあります。上部・下部の両方のテープは、患側の上にとめてしまうより患部を包み込み、支えるようにとめる方が安定します。

バストバンドの注意点

骨折の治療に有効なバストバンドですが、使用することで考えられるリスクと注意点を説明していきます。

①強く巻きすぎることにより起きる体への負担
ズレないようにバンドをあまりにも体に強く巻きすぎると、逆に骨折部の痛みをひどくしてしまう可能性があります。また、締め付けにより胸郭の運動が制限され過ぎると換気障害を起こしたりするおそれや、 老人の場合は肺合併症を引き起こす場合があるため注意が必要です。

②褥瘡(じょくそう)ができる可能性がある
骨折の保存療法でバストバンドを使用すると、褥瘡(じょくそう)ができるリスクがあります。

〈褥瘡とは〉
褥瘡は体の一部分に力がかかる状態が続くと、その部位の皮膚への血流が悪くなり、赤くなったり、ただれたり、水ぶくれができたりします。水ぶくれが破れてびらんになり乾くと完治しますが、最悪の場合はその部分が壊死することかあるため、注意が必要です。

褥瘡を発生させないためには、
・バンドが当たる部分の皮膚の状態を確認する
・皮膚の湿潤の有無
・痛みやかゆみの有無

などを確認して、皮膚を清潔に保つようにします。締め付けや緩みがあれば定期的につけ直し、皮膚の保護剤を湿布するなどのケアも必要です。

③便秘になりやすい
骨折すると、ほとんどの人が便秘になります。痛みがあるため動けないという理由に加えて、体を動かさなくなることによって運動量が減るからです。トイレに行けなくなる、運動量不足でいきめなくなるなどの要因で便秘になりやすくなります。体の痛みや思うように動けないだけではなく、便秘になるとスッキリとせずに気分まで重く感じる日々が続いてしまいます。スムーズな排便ができるよう、無理のない程度に適度な運動を心がけましょう。

バストバンドのよくある質問

 

 

初めてバストバンドを使用する人なら特に、目的や使い方に関して疑問に感じていることもあるでしょう。
ここでは良くある質問と、その答えを紹介していきます。

 

Q.肩や腕の骨折時にバストバンドと三角巾を使用する目的を教えてください。

A.骨折後は新しい骨を作るために、骨芽細胞が血中のカルシウムを取り込みます。この過程では、バストバンドと三角巾を使用して患部を安静にしているほうが、治癒までがスムーズに進みます。
また、バストバンドと三角巾の使用は、痛みの軽減にも有効です。さらに、腕を三角巾とバストバンドで固定しておくと、患肢を乗せた三角巾が揺れて周囲にぶつけてしまうなどのアクシデントが避けられます。

 

Q.バストバンドはどれくらいの期間装着する必要がありますか?

A.骨折による痛みの軽減は数週間、骨癒合するまでは2〜3ヶ月を要するのが一般的です。そのうち、バストバンドは約4週間ほど装着する必要があります。装着は正しい方法で行わないと、きつすぎで呼吸が辛くなったり、逆に緩すぎるとバンドがズレてしまい、固定している効果が失われたりするおそれがあります。

 

Q.バストバンドにデメリットはありますか?

A.バストバンドは胸部に装着する形になるため両側の肺を固定し、息がしづらいおそれや胸が苦しい感じが出るおそれがあります。また、きちんと装着できていないとズレが生じ、患部が固定されずに効果が発揮できないこともあります。装着前にはもう一度、巻き方を確認することをおすすめします。

 

Q.骨折なのにギプスは必要ないのでしょうか?

A.肩まわりの骨折はギプスで固定すると、上腕と体幹すべてをギプスで巻く必要があります。巻くのが大変なうえに、体幹を動かすと肩甲骨が動いてしまうため、十分に固定されません。
また、ギプスを巻くと生活面にも支障をきたします。ギプスをすると衣服の着脱が困難ですが、三角巾とバストバンドで固定する方法であれば簡単に行えます。汗をかく夏場は特に、シャワーや入浴もしやすく、汗で濡れた衣服も着替えがしやすい利点があります。固定したままの状態でリハビリも可能なため、ギプス無しの場合がほとんどです。

このように、肩まわりの骨折ではギプス固定はほとんどなく、ズレても巻き直しができる三角巾とバストバンドを使用するのです。

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まとめ

骨折は特別な状況でなくとも、日常生活において、どのような状況でも起こり得る外傷です。手術を伴わない肋骨骨折や上腕骨近位端骨折では、バストバンドや三角巾を使用する保存療法が用いられます。固定により骨折部が安定すれば、痛みの緩和や快適に日常生活が送れる一方で、巻き方を誤れば皮膚トラブルや循環障害を起こすこともあります。バストバンドを正しく装着し骨折が完治した後でも、安心ばかりはしていられません。
少しでも早く日常を取り戻せるようにリバビリを行う、また特に高齢者の場合は自宅で再度転倒などが起きないように生活環境を整えるなど、さまざまな面に配慮が必要だと言えるでしょう。