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こんにちは!メイプル名古屋です!
いつもご覧頂き本当にありがとうございます^^
 
ある鍼灸師の先生が
「もう、10年以上前のことですが、この体験は1度きちんと文章にしておきたかった」
と言うことでブログにさせていただきました。
鍼灸院開業されている先生必見の記事です。
 
今回は、パート2です。
 
前回の記事はこちらから
↓   ↓   ↓
とある鍼灸師の先生の過去の実話です【忘れ得ぬ面影1】
 
 
前回、上顎洞癌で亡くなられた男性の患者さんとのご縁を書かせていただきました。
 
その話の最後に、その患者さんが亡くなられた後に、今度は奥様のうつ病の治療の依頼を受けたところで話を終えてしまったので、その続きを書かせて頂こうと思います。
 
 
よかったらお付き合いください。
 
 
 
その奥様は看護師の資格をお持ちで病棟勤務の経験も長いベテランの方でした。
 
 
大切な夫の顔が癌によって崩れていき、状態が悪化する中で、普通であれば医療機関に任せるような状態であった訳ですが、なまじ看護師としての経験があるだけに、懸命に夫を支えられました。
 
 
その大変さは想像を超えていて、どんなお気持ちで日々包帯を替え、ケアをされていたのか。
私には思いが及ばないのですが、うつ症状を抱えながらも何とか最後まで看取られたわけです。
 
 
 
問題はご主人が亡くなられた後。
四十九日が過ぎたあたりから一気にうつ症状が悪化し、医師からもうつ病の診断を受けられていました。
 
 
お電話で訪問での鍼灸治療の依頼を受けたとき、もちろん二つ返事でお引き受けしたのですが、さて、と頭を抱えてしまいました。
 
 
 
それまでにも、何人かのうつ病の方の施術をさせていただいたことはあったのですが、正直にいって成績はあまり良くはありませんでした。
 
 
中には悪化させてしまったケースも。
「うつ病は命に関わる病気」という言葉が重くのしかかります。
 
 
それでも最終的にお引き受けした理由は、今となってはよく思い出せません。
 
若気の至りだったのか。
 
 
 
ご主人の癌に対する施術でほとんど役に立たなかった分を挽回したかったのか。
 
 
とにかく何かお役に立てるようなことがあれば、少しでも力になりたかったのだと思います。
 
 
施術はテイ鍼とお灸を中心に行いました。
 
 
脈はとにかく沈んでいて弱々しい感じ。心身ともに疲れ切っていてお顔にも表情の動きがみられませんでした。
 
 
これはいけないと思い、最初は週1回ペースで通いました。
 
 
ご自宅にお伺いすると、施術の前には必ず亡くなられたご主人のご仏壇に手を合わせました。
 
 
何回か通ううちに、施術の内容よりも、誰かが通ってくること、亡くなられたご主人の思い出を語る相手がいること、そういったことが必要なのだろうと思い始めました。
 
 
鍼やお灸をしながら、奥様が語られるご主人の思い出に耳を傾ける。
 
 
そんな時間を重ねるうちに、徐々にうつ症状が和らいでいき、治療の間隔も少しづつ空けて様子をみられるようになり、やがて医師の処方でも薬の量が減り始めました。
 
 
今にして思うと、必要だったのは時間だったのでしょう。
 
 
施術で通うようになってから1年がたつ頃にはすっかり元気を取り戻されました。
 
 
私の方から、もう「うつ病」に対する治療は必要ないと思う旨をお伝えし、いったん施術を終了しました。
 
 
1年前とは見違えるように表情を取り戻された笑顔が忘れられません。
 
 
前向きな状態でうつ病に対する施術を終えられたのは初めてのことでした。
 
 
 
ところで、患者さんが亡くなられたエピソードばかりだとバランスが取れないので、もう少しだけ。
 
 
 
 
ちょうどこの施術をしていたころと近い時期でしたが、今度は命の誕生に関わることができた話をさせてください。
 
 
ご相談を受けたのは、30代中盤、妊娠3ヶ月の女性。
 
 
結婚後数年間は子供に恵まれず、それでもようやく妊娠に至ったものの、1ヶ月近く出血が続き、切迫流産の診断を受け、このままでは妊娠の継続は難しいかもしれないと医師から説明を受けていました。
 
 
やはり知人のつてで、鍼灸の施術受けてみたいというご依頼。
 
 
お会いしてみると、非常に落ち込まれていて、とてもつらそう。
 
 
フルタイムでお仕事もされていたので体も疲れており、確かに早急に手当てが必要な状態と感じました。
 
 
施術は触れるだけの鍼と、温めるお灸を行いました。
 
 
特に腰から仙骨部にかけては皮膚もひんやりとしていたので、知熱灸で熱をしっかり入れていきます。
 
お灸をしながらお話を伺っていくと、一番気になっていることはどうして出血するのか、そして自分のどこが悪いのか知りたい、ということでした。
 
 
そうです。
 
 
その女性はひたすら自分自身を責めていたのでした。
 
 
 
私からは、何かが悪いとかそういうことはないこと。
ただお仕事のこともあり、体が冷えやすくなっているので、棒灸で温めるとよいこと。
出血については、赤ちゃんが胎盤を形成する過程を説明し、そこから出血の可能性があること。
決して赤ちゃん自体から出血しているわけではないことをお話しました。
 
実は、出血を見るたびに赤ちゃんに何か起きているのではないかと、悲しみに暮れていたことをその時知りました。
 
 
施術を終えると、ご本人は体が緩んで温まった感じがすること、そしてお灸のセルフケアなど赤ちゃんのためにやってあげられることがあることを知って、少し気持ちが落ち着いたようでした。
 
 
ご主人にも棒灸の使い方と、温めるポイントを伝え、できるだけ毎日行うように伝えました。
 
やはり最初は週に1度のペースで施術を行いましたが、ご夫婦の取り組みは目を見張るものがありました。
 
毎日のように棒灸を行い、食事や生活の見直しにも真摯に取り組まれました。
 
その甲斐あってか、お伺いするたびにお身体に変化がみられて出血も減り、4ヶ月を迎えるころには出血が止まったのでした。
 
 
その事を教えてくれた時のご夫婦の嬉しそうな輝く笑顔も忘れられません。
 
 
その後、そのご夫婦は無事に安定期に入られ助産院でお産を終えられましたが、最後までセルフケアのお灸を欠かさなかったそうです。
 
無事に生まれてきたお子さんのお顔を拝見して、「鍼灸師になって良かった」と心の底から思えたのでした。
 
 
 
 
以上、私が鍼灸師として駆け出しだったころの話を書かせて頂きました。
 
 
 
生命が失われる過程に立ち会うこともあれば、新しく生まれる過程に立ち会うこともある。
この体験が、自分にとって鍼灸師という仕事を考えるうえで、大きな影響を与えたことは言うまでもありません。
 
 
 
きっと、鍼灸師の皆様ひとりひとりにそういった患者さんとの様々な関わり、喜怒哀楽があるのだと思います。
 
 
あなたは、どんな体験をされましたか?
 
 
機会があれば、ぜひゆっくと話を聞かせてください。
 
 
 
 
 
先生方ご自身の感動体験、患者様の感動体験など、ブログで紹介させていただきたいです。
 
是非、ご連絡お待ちしております! 🙂 
 
 
最後までご覧頂き本当にありがとうございます!
 
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