世の中にはいろんな資格がありますが、ほとんどの場合資格を取るには年齢制限があります。では、鍼灸師になるのに年齢制限はあるのでしょうか。ここでは、鍼灸師と年齢の関係について見ていくことにします。

■鍼灸師の年齢層は広い

結論から言いますと、鍼灸師になるのに年齢制限はありません。そのため、鍼灸師を目指す人の中にはいろんな年齢層の人がいて、鍼灸師になる前の職業も実にさまざまです。鍼灸師を養成する専門学校には、高校を卒業したばかりの学生もいれば、30代や40代、中には50代の人もいます。

このように、年齢を問わず他の職業から転職してくる人が多いのが、鍼灸師の特徴といえるでしょう。鍼灸師を目指すきっかけも人によってさまざまで、自分が鍼灸治療を受けたことから興味を持ったり、知人や友人に鍼灸師がいて、話を聞くうちにやってみようという気になったりする人もいるようです。また、鍼灸師は技能職ですから、手に職をつけたくて学校に通う人もいます。

このように、鍼灸師はさまざまな考えで始める人が多いのです。では鍼灸師になる難易度はどのくらいかといいますと、最短3年で国家資格を取得できるので、それほど難しいわけではありません。

鍼灸師になるには「はり師」「きゅう師」の国家試験を受験しなければなりませんが、これらの受験資格は鍼灸の専門学校に3年通えば得られます。つまり、鍼灸師になるには年齢は関係なく、3年間養成機関で学んだ実績があれば誰でもなれるのです。

■年齢によるデメリットが少ない

鍼灸師は、年齢によるデメリットが少ない職業です。というより、むしろある程度の年齢のほうが、施術される人から見ると信頼感があるかもしれません。たとえば、20代で鍼灸師になって5年目の人と、40代で鍼灸師になって1年目の人だと、見た目には40代の鍼灸師のほうが、ベテランに見えることもあるでしょう。

このように、鍼灸師は年齢によるデメリットが少ないばかりか、むしろ年齢がメリットとなることさえあるのです。世の中のほとんどの職業は若い人のほうがいいとされ、年齢が上がると敬遠される傾向にありますから、そんな中で鍼灸師は珍しい存在と言えるでしょう。

■鍼灸院を開業するには

鍼灸師は、資格を持っているだけで開業権があるため、国家資格さえ取得すれば誰でも開業することができます。実際問題として、開業して鍼灸院の経営を軌道に乗せるのは簡単ではありませんが、資格を取っただけで開業の可能性が開けるのは、大きな魅力と言えるでしょう。近年、スポーツ鍼灸や美容鍼灸も増えているので、柔道整復師の資格を取れば捻挫や脱臼など、スポーツで負傷した人の治療もできるため、鍼灸院としての幅が広がります。

女性をターゲットにした美容鍼灸や、鍼灸によるダイエットなども人気ですから、この方面で固定客をつかむこともできるでしょう。自分の得意分野や、やりたいことを加味して自由に開業できるのも、鍼灸師ならではと言えそうです。

■鍼灸とは

そもそも、鍼灸とはどんな療法なのでしょうか。鍼灸は「鍼」と「お灸」に分かれますが、人間の体に360箇所以上もあるとされる経穴を刺激して、体の内側から活性化させて病気を改善するものです。鍼灸のもととなる東洋医学では、あらゆる病気の原因は全身を巡る気が滞るためだとして、気の通り道である経絡の中を気がスムーズに流れるように、経穴を刺激します。

鍼灸はあらゆる病気の原因が気の滞りにあるとするので、普通の病院のように内科や泌尿器科といった区別がありません。胃腸に問題があれば、胃腸の機能を活性化させるツボに針を打ったり、お灸をすえたりすることで改善をはかります。泌尿器科やその他の病気でも同じで、その症状に効果のあるツボを刺激すればいいので、鍼灸院はいわば総合病院のように、どんな病気にも対応できるのです。

病気の治療というと、医薬品を使ったり手術して治したりする現代医療のほうが注目されがちです。現代医療には科学的根拠があるから多くの人が信頼し、実際に数多くの病気が治っているのも事実です。その点、鍼灸では科学的に解明されていない気の巡りを重視しますが、科学的に解明されていないということは、科学的に存在しないのと同じです。

そのため、気の巡りを重視し、人の体を解剖しても見つからない、経穴や経絡の存在を主張する鍼灸を、非科学的と見る人もいるようです。しかし、現実に鍼灸院では多くの人の難病が改善しています。さらに、現代医療で治らないと言われた病気までも、鍼灸院に通うことで治った例が数えきれないほどあるのです。

この鍼灸が持つ治療効果は世界的にも認められており、近頃NIH(米国国立衛生研究所)では、鍼灸がいろんな病気の治療に効果を発揮することを、公式に発表しています。鍼灸の特徴は、薬や手術による外からの治療ではなく、人間が本来持っている自然治癒力を高めて、症状を改善することにあります。そのため、薬による副作用や手術のリスクもなく、しかも一度経絡の流れがよくなると、その後病気にかかりにくくなるというメリットもあります。

しかし、これは現代医療を否定するものではありません。現代医療には数多くのメリットがあります。特に緊急性のある病気やケガには、薬や手術が効果を発揮します。

こういった場合には、鍼灸よりも現代医療のほうが適しています。鍼灸は体の中から自然治癒力を高めて病気を改善し、病気にかかりにくい体を作るものですから、人間にとっては現代医療も鍼灸も必要なのです。

■鍼灸師の就職先

鍼灸師の資格を取ったあと、鍼灸師が働くのは鍼灸院や接骨院になります。しかし、最近では病院や福祉施設などでも、鍼灸師が求められることがあります。高齢化社会になり、高齢者が増えるに従って鍼灸師の需要も増えているので、鍼灸師の資格を取っておけば就職に困ることはないでしょう。

ただし、経験と技能が重視される職業ですから、まずはしっかり実績を積むことが大切です。鍼灸師になるには、国家資格を取得すればいいのですが、それだけでは十分とはいえません。これは精神論になってしまうかもしれませんが、「人の役に立ちたい」とか、「病気で困っている人を救いたい」という気持ちが何よりも大切です。

そのためには、鍼灸師としての技能が必要なのはもちろんですが、患者との信頼関係を築くためにも、コミュニケーション能力が重要となります。鍼灸師として高い技能があっても、ろくに会話もなく施術するのでは、患者によっては不安な気持ちになる人もいるかもしれません。そのため、「この人なら安心」と思ってもらえることも、鍼灸師に求められる大切な要素となるのです。

■鍼灸師が活躍する場所

鍼灸師が働く場所というと、街にある鍼灸院や接骨院などが中心となりますが、最近ではもっと幅広く鍼灸師が求められるようになっています。現代医療を専門とする病院などでも、最近は鍼灸師が在籍することが多くなりました。病院の中で、鍼灸師は理学療法士やリハビリの専門職と密接に関連しながら、患者のケアをしていきます。

また、スポーツチームの中に鍼灸師がいることも多く、活躍の場が広がっています。特にスポーツでは、ケガの治療もさることながら、ケガの予防も大切です。ここでも、近代的なノウハウを導入したスポーツトレーナーと連携を取りながら、鍼灸師の活躍が求められています。

また、最近では美容やダイエット、不妊治療にも鍼灸が使われるようになってきました。女性の美容やダイエットとなると、男性よりも女性のほうが向いているので、最近では女性鍼灸師も増えています。

また、高齢化社会に合わせて、デイサービスに鍼灸を取り入れる試みも行われています。このように、鍼灸師が活躍するシーンはますます拡大しています。

 

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