こんにちは、メイプル名古屋です(^o^)丿
いつもご覧いただきありがとうございます。

今回は、「あなたの学生生活をもっと豊かにするために」
鍼灸養成校に通う学生さんに向けて鍼灸師の長崎絵美先生に書いて頂きました。

 

皆様こんにちは。鍼灸師の長崎絵美と申します。
今日は、鍼灸養成校に通う学生の皆様に向けての記事となります。

 

鍼灸師になるための3年間あるいは4年間を、皆様はどういうふうにお過ごしでしょうか。

 

毎日、学業やお仕事に充実していて、満足していますか?
それとも、将来の道が見えなくて、少し悩む日もありますか?

 

今日のブログは、いまの毎日に満足している人も、ちょっと不安を覚えている人も、
たくさんの人に届けばいいなぁと思って書いていきますね。
どうぞ、お時間のあるときに、のんびりと読んでくれたら嬉しいです。

 

あなたの目標はなんですか?

 

あなたは学校生活を送るうえで「目標」をもっていますか?

「そんなの、国家試験に合格して鍼灸師になることでしょ?」と思われるかもしれません。
これはもちろん正解であり、
個人的には、そこで思考を止めてほしくないなというのが本音です。

 

はり師・きゅう師の国家試験に合格すること。

これはあなたの目標ではなく、【通過点】でしかありません。
大事なのは、鍼灸師という資格を使って、

あなたが何をしたいのか、何ができるのかということに想いを馳せてほしいのです。

 

鍼灸師になったら、必ず誰かに鍼を刺さないといけない決まりはありません。
極端な話、まったく臨床をしなくてもいいのです。
鍼灸師として、いったいどんな分野の、どんな事業に関わることができるのか?
これを定めるには、幅広い視点で物事を見つめて、いろいろな可能性を知る必要があります。

 

少し、わたしの話をさせてください。

 

わたしは鍼灸師を10年やっていますが、この仕事は本当に素晴らしいと思っていて
年々、鍼灸のことも鍼灸師のことも、好きな気持ちが増しています。
こんな楽しい仕事は、他にはなかなかないんじゃないかな、と本気で思っています。

 

とはいえ、わたしが学生の時の視野は、あまり広いとはいえないものでした。
「卒業したら弟子入りして、一人前になったら開業するぞ」と意気込んでいたのですが、
「鍼灸1本で食っていけるようになりたい」という想いが強すぎて、
鍼灸と何かを掛け合わせる事業や、臨床現場に出ない鍼灸師の存在を魅力的には感じていなかったのです。

 

当時のわたしにとっては、

「治療がちゃんとできる鍼灸師こそが素晴らしい」という価値観が全てでした。
だからこそ、厳しい指導を受けたいと願ったし、学生でもたくさんの人の身体に触れさせてもらえる機会があれば、積極的に勉強会に参加しました。

今わたしは、自分の院を開業して3年目です。

専門学校時代の同級生であった夫と結婚して、子どもが二人います。
育児に重点を置きながらも、鍼灸というお仕事にずっと携わっていますが、
開業してからのここ数年間の間に得たたくさんの出会いによって、
わたしの価値観は一変しました。

SNSを覗けば、こんなに多種多様な働き方があるのだな…とびっくりしたんです。

「鍼灸師」というのはあくまでも枠組みの一つであって、
その知識や特性を、コミュニティの中でどう活かしていくのか…
そういった、少しマクロな視点で物事を捉えることの大切さを、最近痛感しています。

医療は、人間の健康というものに寄与するお仕事ですが、
健康はそもそも、一個人だけの問題にとどまらないという現実もありますね。
人が病む(=健康を害する)時、それはその人の生活習慣などだけが原因ではなく
その人を取り巻く人間関係社会制度個人の力だけではどうにもならない要素
影響していることも往々にしてあります。

それを、
ただその人の身体に鍼を刺して灸を据えるだけでは解決できないことがある
と知ることができたのも、わたしのこの10年の歩みなのかもしれません。

 

ここでもう一度。

あなたは学校生活を送るうえで「目標」をもっていますか?

ひょっとして、先ほどの答えと違う答えも浮かぶようになっていたら
なんだかわくわくしてきますよね。

 

「自分は鍼灸師になって何ができるのか。

「誰の、どんなお悩みを解決したいのか。

「あなたが魅力的だと思う、理想的なライフスタイルの鍼灸師は見つかっているか。

 

どうでしょうか。少し、自分の未来の姿がイメージできますか?

もし、「こうしたい!」という具体的なイメージがうかばないなぁという方は

「自分はどんなときに喜びを感じるか」「身近にいる、あなたが助けたい人」

のことを考えてみるといいかもしれません。

 

目標が決まれば、あとは行動を逆算する

 

最初に目標を想像してもらったのには意味があります。
当たり前のことですが、人間は、目標が定まっていないと動けないのです。

学生さんの目標が「国家試験に合格して鍼灸師になる」ことだと、
そのために必要な行動は「教科書を読む」「経穴を覚える」「過去問から対策をつかむ」
みたいなことになってくると思うんです。

でも、もし目標が「海外の人に日本鍼灸を広めたい」だったとしたら、
学生時代に取る行動が

 

「語学を勉強する」

「日本鍼灸について徹底的に学ぶ」

「海外の人が集まるコミュニティに入っていく」

「すでに海外で活躍している日本人鍼灸師に話を聞く」

 

などのように変わってきますよね。

人がなにかに迷うとき、それは「目標設定が定まっていない」ことが多いです。

目標さえはっきりと見えてしまえば、あとはそこから逆算して、
目標達成のために必要な行動をとるだけのことなんですよね。

もちろん、人生には無駄が必要ですから
一見、目標から遠ざかっているようにみえることや、直接は関係のなさそうなことでも
いつかどこかで活きる場面もあるでしょう。

しかし、それはあくまで「肉付け」の部分。
一本、しっかりとした軸という骨組みがあってこそ輝くものです。

 

あなたの人生の軸は、どんな想いで構成されていますか?

今一度、考えるきっかけになってもらえたらとっても嬉しいです。

 

鍼灸師の数だけ、働き方がある

 

わたしが学生のときに「もっとやっておけばよかったな~」と思うことは
たくさんの鍼灸師の先生に会いにいくこと、そしてお話を聞かせてもらうことです。

わたし、服を買いに行くと、選ぶのがめちゃめちゃ早いんですよ。
数着見て、ぱぱっと、これにするわ!って決めちゃう。
ほぼ迷わないし、自分としては買って失敗やったなーていうものもほとんどありません。
直感を信じるタイプ。

そんなかんじで、鍼灸学生時代に何か所か見学に行かせていただいた治療院でも、
「わぁ~!ここすてき!この先生すてき!!」ってひとたび思うと
「もう絶対ここで学びたいっ!」って思ってしまいました。

突き抜ける強さ、という意味ではもちろんそれでよかったのだと思います。
でも、いま学生さんたちにもしお話できるなら【選択肢はたくさんの中から選ぶほうがいい】と自信をもってお伝えできます。

 

たくさんの選択肢があったら、それはそれで迷うんじゃないの?
そう思いますか?

 

迷ったらいいじゃないですか\(^o^)/だって学生なんだもーん!

 

学生生活って、学校というひとつの枠に守られているわけです。
あなたのことを考えて、親身に相談にのってくれる
「先生」という心強い存在がすぐ近くにいるのですよ。
学生のアドバンテージはおおいに活用すべきです。学生時代は今しかない。

たくさん迷って、そしてたくさん先生に相談してください。
そして学生のうちから、【目標】となる人・モノをみつけてください。

そんなの、どこから見つけたらいいの?って思うかもしれません。

わたしのおすすめ、まず「ハリトヒト。」というwebメディアです。

 

https://haritohito.jp/

 

こちらは、いろいろな鍼灸師の先生のお話が読めるweb媒体です。
(最近、製本化もされました!)

ひとりひとりの鍼灸師の先生が、
なぜ鍼灸師を志したのか、どういったキャリアを歩んでこられたのか…
ハリトヒト。編集部の皆さんが、ぐいぐいとつっこんでインタビューしてくださっています。

 

こういった媒体は、わたしが学生のときにはなかったもの。(たぶん)
これを読んでいたら、もしかしたら違う未来や可能性のことも考えていたのかもしれません。

 

こういった道もあるんだ、って知ることができるだけでも、
自分の中に得られるものってとても大きいはずです。
自分ひとりだと、こんなにたくさんの先生に会いに行ったりお話を聞くことは難しいけれど、ハリトヒト。さんのおかげで見聞がどんどん拡がっていくのは本当にありがたい限り。

先生たちの個性的な魅力を引き出してくれるインテビュアーの皆さんも、
親近感を感じさせるほんわかしたイラストも、
とにかくすごいんです。ぜひ一度読んでみてください。

 

また、9月にはこんなイベントも開催されるようです。

https://www.latest.facebook.com/events/476783009724589/

 

こちらは、7人の鍼灸師の先生と学生さんをつなげようという試み。


学生さんに、数年後の自分をリアルにイメージしてもらうことで、将来すすむ道の可能性を増やしたり、横のつながりをたくさんつくることで何か新しいものが生まれたり…そんなわくわくいっぱいのイベントなようです。

 

ハリトヒト。さんと違うのは、こちらは直接その場で先生方に質問ができちゃう、お酒もいっしょに飲めちゃうってことですかね。
やっぱり実際にその人の人となりをみてわかることってたくさんある。
会ったら一瞬で「すき!」ってなっちゃう鍼灸師さんって、いっぱいいるんです。

こういった生の魅力に出会えるのは、やっぱり「会いに行く」ってことなんじゃないかな。

全国には、こうして、鍼灸師さんたちが企画してくれている様々な試みがあります。
みんな、やり方は違えど、学生さんたちのことを応援している気持ちはおんなじ。
これからの鍼灸業界を盛り上げてくれる予定の皆さんのお役に
少しでもたてたなら、鍼灸師たちはみんな嬉しいんです。

 

皆さんの残りの学校生活が、どうぞ実りのあるものになりますように。
数年後、一緒に頑張っていけることを楽しみにしています。

 

読んでくださってありがとうございました(*^-^*)

~鍼灸師えみすけ(長崎 絵美)~

・大阪市在住。京都文教大学で臨床心理学を学んだ後、鍼灸師となる。

・施術の中では特に患者様との心の交流を重んじて、身体と心の調和を目指す。

・現在は夫婦で鍼灸接骨院を営む傍ら、ブログ・お灸セミナーで情報発信を行っている。

・2児の母でゲーム好き。