お灸というともぐさを使うようなイメージがあるかも知れませんが、最近では家庭でも手軽にできるお灸が増えてきています。

お灸にはリラクゼーション効果だけでなく、さまざまな不調を改善する効果も期待されています。そこで今回は、お灸に期待できる効果や、お灸をする際のおすすめのツボを紹介します。

お灸ってどんなもの

お灸 何

お灸の歴史は古く、2000年も昔の中国で既に現在と同じような形の施術がおこなわれていたそうです。

日本に伝わったのは奈良時代で、明治維新後に西洋医学が中心となるまで、鍼と並んで我が国の医療の中心でした。

もともとはヨモギから取れたもぐさに火をつけ、ツボに置くという施術法がおこなわれていましたが、最近では家庭でも簡単にお灸ができるよう、肌に貼るタイプの台座灸が使われるようになりました。

美容や冷え性の改善目的でお灸をするケースも増えてきており、お灸のニーズは近年ますます高まっています。

お灸に期待できる効果

お灸 効果東洋医学の世界では、お灸は「生活機能の変調を矯正し、保険および疾病の予防または治療に広く応用する施術」と定義されていますが、具体的にはどんな効果が期待できるのでしょう。

リラクゼーション効果

お灸の原料となるヨモギには、ローリエやローズマリー、ユーカリの葉などと同じく、「シネオール」と呼ばれる成分が含まれています。

シネオールはすっきりとした香りを特徴としているため、お灸を燃やした時に漂う爽快な香りによって、リラックス効果が期待できるのです。

もぐさに火をつけるとじんわりとゆっくり燃焼するため、皮膚の表面から身体の深い場所に、徐々に温かさが伝わっていきます。

また、シネオールはよい香りがするだけでなく、消毒・殺菌・鎮静効果のほか、痛みを緩和する効果があることも分かっています。

こりの解消効果

“こり”と言うと肩こりが有名ですが、なぜ肩がこるのかご存知でしょうか。肩こりの出発点は筋肉の緊張です。筋肉が緊張すると、血管を圧迫します。

専門的には筋肉が圧迫され、血行が阻害されることを「筋阻血(きんそけつ)」と呼びます。そして、筋阻血が生じた場所には、痛み物質が産生されるのです。

痛み物質によって筋肉痛のような痛みが生じると、生体の防衛反応でますます筋肉が固くなります。そして、筋肉が固くなることでさらに血管が圧迫され、血行が悪くなるという悪循環に陥ります。

この悪循環をお灸による温熱効果が絶ってくれるのです。お灸をした場所の筋肉が温まって緩むことで、血行が良くなるため、こりを根本から解消することが期待できるのです。

便秘の改善効果

便秘に悩まされている女性は多いと思いますが、その多くに内臓の冷えがみられます。

お灸をすることで内臓温度を上げると、腸の働きを活性化させ、便秘改善が期待できます。

冷え性の改善効果

お灸は、身体に対して温熱刺激を加えることです。そのため、冷え性の改善が大いに期待できます。

不妊症の改善効果

鍼灸院の中には、不妊症の改善目的で鍼灸治療をおこなっているケースもあります。

お灸によって血行が促進されることで、身体の持つ力が高まると考えられているからです。

病気の予防効果

中国最古の医書である「黄庭内経(こうていだいけい)」には、『未病を治するは名医なり』と書かれています。伝統的な東洋医学は、病気の予防を目的としていたということです。

西洋医学の場合、画像診断などをもとに「病名」を決め、そこから治療が始まります。一方、東洋医学はそもそも病気にならないことを目指しているのです。

皆さんの中にも、「身体がだるくて病院で検査を受けたけど、異常なしと言われた」という方もいるのではないでしょうか。そんな「半健康状態」の人に、お灸が効力を発揮するのです。

症状別におすすめのツボ

お灸 症状

お灸はツボに置いて用いるのが一般的ですが、どんな症状にどのツボが効果的なのでしょうか。自宅でも簡単にお灸が据えられるツボを紹介します。

肩こりのツボ

慢性的な肩こりに悩まされている人には、肩井(けんせい)のツボがおすすめです。肩井のツボは、乳頭からまっすぐ上にたどった、肩の頂点にあります。貼って用いるタイプの台座灸で温熱刺激を加えるとよいでしょう。

もしパートナーがいるのであれば、肩外兪(けんがいゆ)のツボにお灸を置いてもらいましょう。肩外兪のツボは肩甲骨の内側を指でたどり、もっとも高くなっている場所にあります。

専門的には肩甲骨の上角(じょうかく)といい、ここから首へと伸びる筋肉が出ているため、肩外兪をあたためることで、肩こりだけでなく、首こりの改善効果も期待できます。

腰痛のツボ

腰痛の方には大腸兪(だいちょうゆ)のツボがおすすめです。大腸兪のツボは、腰骨から指の幅2本分外側、ちょうどベルトラインの高さにあります。

腰にあるツボなので、お灸をすえることで腰痛の改善効果が期待できます。また大腸の文字からも分かるように、便秘や下痢といった排便障害の改善にも効果的とされています。

冷え性や便秘のツボ

冷え性や便秘の方には三陰交(さんいんこう)のツボがおすすめです。三陰交のツボは、足の内くるぶしから指の幅4本分上に行ったところにあります。

月経時痛や整理不順など、婦人科系の悩みにも効果的とされるため、女性にとっておすすめのツボです。

仕事やお悩み別!おすすめのツボ

仕事別 お灸

仕事をしているときの姿勢や使われる筋肉によって、おすすめのツボも異なってきます。

デスクワークの人におすすめのツボ

デスクワークをしていると、どうしても長い時間椅子に座っていなければなりません。そんな方にありがちなのが足のむくみだと思います。

足のむくみを改善するのであれば、陰陵泉(いんりょうせん)のツボがおすすめです。陰陵泉のツボは、足の内くるぶしから上に指を滑らしていき、骨にぶつかって止まる場所にあります。

このツボはむくみの改善に効果的なだけでなく、食欲不振の改善効果も期待されています。また、膝の近くにあるツボであることから、膝痛の緩和にも効果的です。

立ち仕事の人におすすめのツボ

足の疲労に効果的なのが足三里(あしさんり)のツボです。

膝のお皿の下を外側に移動すると、出っ張った骨(腓骨頭)にぶつかると思います。足三里のツボは、そこから指の幅2本分下がったところにあります。

元禄期の俳諧師である松尾芭蕉も、その著書である「奥の細道」の中で、『三里に灸すうるより(据うるより)…』と足三里のツボに触れています。それだけ、足の疲れに効果があったということなのでしょう。

スポーツをする人におすすめのツボ

良いスポーツ選手に求められる条件の1つに、高い集中力があげられます。

集中力が最高に高まった状態のことを「ゾーンに入る」などと言いますが、東洋医学では集中力を高める効果が期待されるツボもあります。そのツボが陽池(ようち)です。

手首を反らす(背屈させる)としわができますが、そのしわのやや小指寄りに陽池のツボがあります。陽池のツボには集中力を高める効果が期待できるほか、手首の痛みを改善するのにも効果的です。

婦人科系の悩みがある人のおすすめのツボ

月経時痛や生理不順といった悩みがある方には血海(けっかい)のツボがおすすめです。血海のツボは、膝のお皿の内側から指の幅3本分上がった場所にあります。

血海のツボには血行を促進させる効果が期待されていることから、婦人科系の悩み以外にも、冷え性の改善効果も期待できます。

肌荒れに悩まされている人におすすめのツボ

肌荒れを改善したいのであれば、新陳代謝を促進する効果が期待されている腎兪(じんゆ)のツボがおすすめです。腎兪のツボは背骨から指の幅2本分外に行った場所、ちょうどウエストのくびれの高さにあります。

腎兪を刺激することで新陳代謝(ターンオーバー)が活発化し、肌荒れやニキビの改善効果が期待できます。

東洋医学では「腎」が元気を司っているとされるため、腎兪を刺激することで身体から元気が湧いてくるかもしれません。

 お灸を上手に利用して不調を未然に防ごう!

・お灸は漢方における伝統的な治療法
・お灸には疼痛の緩和をはじめ様々な効果が期待されている
・お灸によって血行を促進することで期待する効果が得られる

お灸は2000年も前から、病気を未然に防ぐ目的でおこなわれてきました。現在でも疼痛の緩和目的で施術がおこなわれているほか、美容やリラクゼーション目的でおこなわれています。

東洋医学では「瘀血(おけつ)」を万病の元とし、血行不良が諸悪の根源であると考えています。そういった意味でも、血行を促進するお灸には病気を予防する効果が期待できるのです。

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