鍼灸師の方であれば、鍼治療だけでなくお灸治療をおこなっている方もいるでしょう。お灸は通販で購入できる時代になっていますが、通販でお灸を購入する場合、どのような点に注目すればよいのでしょう。

今回はお灸のタイプ別メリット・デメリットおよび、お灸を通販で購入する際に注目すべきポイントについて解説します。

お灸の種類

お灸 種類

有痕灸

お灸には大きく分けて、有痕灸(ゆうこんきゅう)無痕灸(むこんきゅう)2種類があります。

有痕灸は、あえて皮膚を傷つけることによって、血液中に含まれている様々な物質が活性化し、免疫機能を高めるという治療法です。

有痕灸はさらに、打膿灸(だのうきゅう)焼灼灸(しょうしゃくきゅう)の2タイプに分かれます。

打膿灸は、かなりの高温で皮膚を複数回に渡って刺激し、傷口に膏薬(こうやく)を貼ることで灸跡を化膿させ、後に排膿するという現代人にはあまり好まれない施術法です。

ただ、最近はお灸の本場である中国でも打膿がおこなわれるケースはまれですし、日本でもほんの数ヶ所の施術所でおこなわれているということです。

焼灼灸は角質化して硬くなった皮膚に対して用いられるお灸です。昔はイボやウオノメなどを取り除く目的で焼灼灸がおこなわれていました。

無痕灸

無痕灸は現在、鍼灸院などの施術所で主流となっているお灸です。火傷にならない程度の刺激を皮膚に加え、気持ちよく不調を改善できる方法として注目されています。

かつては有痕灸が主流であったため、「お灸=熱くて痛いもの」というイメージがありましたが、最近では有痕灸がおこなわれることはほとんどなく、リラクゼーションとして定着してきています。

伝統的なもぐさを用いたお灸

一定の年齢以上の方であれば、家にお灸が置いてあったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。かつては家庭でも、もぐさを用いてお灸をしたものです。

子供がいたずらをした時に「灸(やいと)を据える」などと言い、しつけの一環としてお灸をおこなったこともありました。その時に用いられたのがもぐさです。

もぐさはヨモギ団子や草餅の材料でもあるヨモギから作られます。昔はケガをした時に、ヨモギの葉を揉んで傷口に貼ることで止血をしたものです。現代のような薬がない時代には、虫さされの治療やかゆみ止めにも用いられていました。

また、ヨモギは現代でも漢方治療の生薬として用いられており、下痢や便秘といった排便障害や、胸やけ、腹痛の改善効果が期待されているのです。

そんなヨモギの葉の裏は、白くてフワフワとした綿毛でびっしりとおおわれています。それを集めたものがお灸に使われるもぐさです。もぐさには精油としての成分も含まれているため、火を付けた時によく燃え、良い香りを発するのです。

フワフワの綿でできているため日持ちが良く、しかも熱さがじんわりと伝わるという特徴もあります。

かつては打膿灸にも用いられていたもぐさですが、最近の鍼灸院ではコメ粒大、もしくはその半分ほどの小さなもぐさに火を点じ、患者さんが熱さを感じる前に取るのが主流です。

皮膚に貼って使うタイプのお灸

最近は家庭でもお灸をする人が増えていますが、よく用いられているのが無痕灸と呼ばれるお灸です。代表的な「せんねん灸」のように、シールをはがして患部に貼って使うタイプのお灸です。

台座の上にお灸が乗っていることから、台座灸(だいざきゅう)と呼ばれることもあります。台座の部分を好きな場所に貼り、お灸の部分に火を点じて使用します。

台座灸は商品によって温熱レベルが異なるので、お灸が初めての方や、皮膚への刺激に対して不安がある方は、温熱レベルの低い台座灸から始めるとよいでしょう。

火を使わないお灸

火を使わないお灸も台座灸の一種で、もぐさが直接肌に触れないため、火傷をするようなリスクがありません。

さらに、火を使わないので服の上からお灸をすることも可能ですし、お灸特有の香りもありません。

棒灸

棒灸はもぐさを和紙でくるんで葉巻のような形にしたお灸で、先端に火を点けたものを患部にかざして温熱刺激を加えます。

また、専用の「棒灸フード」に装着することで、患部に直接温熱刺激を加えることも可能です。冬の寒い時期など、こりの緩和だけでなく、リラクゼーション目的でも用いられます。

お灸のタイプ別・メリットとデメリット

お灸 メリット デメリット

一口にお灸と言っても、実にさまざまなタイプのお灸があります。では、それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。

もぐさを用いたお灸

もぐさを用いたお灸は、鍼灸の治療院でもっともポピュラーな施術法です。メリットは、気になる場所や経穴(ツボ)にピンポイントで温熱刺激を加えられることです。

鍼灸の治療院ではコメ粒大、もしくはその半分程度の小さなもぐさをツボの位置に乗せ、短時間の温熱刺激を複数回加えて治療効果を高めます。

一方のデメリットは、やはり火傷のリスクです。特に自宅でお灸を行う場合、もぐさにすると火傷のリスクが高くなることは避けられません。ですので、自宅で鍼灸師さんのアドバイスをきっちりといただいてから使用するようにしましょう。

皮膚に貼るお灸

皮膚に貼るタイプのお灸は、家庭でお灸をする時にとても便利です。お灸が直接肌に触れないので、火傷をするリスクがほとんどありません。

また、なんとなくこっている場所や疲れている場所に貼るだけで、リラクゼーション効果が得られます。

ただ、もぐさを用いたお灸のようにピンポイントで温熱刺激を加えることができません。どちらかというと、治療というよりはリラックス目的で用いるのが良いでしょう。

棒灸

フードの付いていない棒灸は患部から離して使うため、火傷の心配がほとんどありません。フードに入れるタイプの棒灸も、温熱刺激をじんわりと伝えるのが目的なので、やはり火傷の心配はありません。

ただ、もぐさを大量に使うお灸なので、施術中に灰が落ちるというデメリットはあります。また、自分でお灸をする場合、棒灸だと温められる場所が限られてきます。

お灸を通販で購入する際のポイント

お灸 ポイント

お灸は通販で購入するのが一般的になってきていますが、購入する際のポイントを解説していきます。

値段

お灸をすえる場合、「1個2個」ではなく「1荘2荘」と数えます。台座灸も「100荘でいくら」といった書かれ方をしているので、1荘あたりいくらになるのかを計算して購入するとよいでしょう。

使い方

お灸を購入する場合、お灸をどのように用いるのかも考えましょう。

もぐさを用いてお灸をするのであれば、コストパフォーマンスに優れた点灸用もぐさがおすすめです。

点火用の線香が付いているものと付いていなものがありますので、そのあたりもチェックしておきましょう。

温熱レベル

台座灸には温熱レベルがあるので、施術目的に応じて使い分けましょう。たとえば長生灸は温熱レベルによって「ソフト」「ライト」「レギュラー」「ハード」の4タイプに分けられています。

ソフトは火を付けた後、温度が44℃くらいまで上昇し、ライトは53℃くらいまで上昇します。これくらいの温度であれば、お灸に対して恐怖心がある人にもおすすめです。

レギュラーは温度が57℃くらいまで上昇する、もっともポピュラーな温熱レベルの台座灸です。大人であればそれ程熱く感じることはありません。

強めの温熱刺激がほしい人の場合、ハードタイプの台座灸を選択するとよいでしょう。ハードタイプの台座灸は温度が63℃まで上昇するので、レギュラータイプでは物足りない人におすすめです。

ポイント制の有無

お灸を購入する際には、通販サイトがポイント制を採用しているかどうかもチェックしてみましょう。

ポイント制が絶対に必要という訳ではありませんが、長い間利用しているといつの間にかポイントが貯まっていて、ポイント交換でお灸が買えるということもあります。

お灸をする際の注意点

最後に、お灸をする際の注意点について、簡単にではありますが解説しておきたいと思います。「釈迦に説法」と言わず、初心に返って確認してみて下さい。

室温に気をつける

鍼灸の治療院では、もぐさを用いたお灸をおこなうのが主流だと思います。

その際に気をつけたいのが部屋の温度です。もぐさを用いたお灸は直接肌の上にのせて用いるため、当然のことながら患者さんは肌を露出させることとなります。

夏であればまだしも、冬の場合、肌を露出すると寒さをともなうものです。そのため、しっかりと部屋を暖め加湿して、患者さんが快適に施術を受けられるようにしましょう。

体温を確認する

鍼灸の施術をおこなう場合、施術前に患者さんの体温を計るようにしましょう。

高熱があるような場合、施術の効果が期待できません。患者さんにも発熱時の来院は避けるように伝えましょう。

十分に換気する

もぐさを用いたお灸は煙が出るため、換気をおこなわないと部屋が煙くなってしまいます。そのため、部屋の換気には十分、気を付けましょう。

お灸のメリットを知って施術効率をUPしよう!

・お灸には有痕灸と無痕灸があり現在では無痕灸が主流となっている
・もぐさを用いたお灸には効果が高い一方、火傷のリスクがある
・台座灸は家庭でも簡単に利用できるがどちらかというとリラクゼーション目的

かつては有痕灸といって、わざと皮膚に火傷を残すお灸をおこなったものですが、最近は無痕灸と呼ばれる、皮膚を傷つけないお灸が主流となってきています。

鍼灸院ではもぐさを用いてピンポイントに温熱刺激を加えますが、自宅でのケアであれば台座灸などの無痕灸がおすすめです。施術目的に応じてお灸を使い分けましょう。

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