鍼灸師が独立開業して鍼灸院を開くには、どのような手続きや条件が必要なのでしょうか。法律上の規制もあるはずなので、気になるところです。鍼灸院を開業する際の条件について調べてみました。

■鍼灸院を開業するには

鍼灸院は、鍼灸師の資格があれば、あとは自由に開業できるわけではありません。店名をつける際にも、あはき法、柔整法などによって制限があるので注意が必要です。あはき法とは、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律で、柔整法とは柔道整復師に関する法律です。

 

■鍼灸院が規制されるワケ

鍼灸院の広告には規制があり、店名のつけ方までチェックが入ります。それは、鍼灸院が行うサービスが医療類似行為にあたるからです。鍼灸院が行うサービスは体の健康を取り戻すことですから、これが医療行為に類似していると見なされるわけです。

医療行為は医師法により医療機関しか行えないので、鍼灸院で医療行為を行うことはできませんということです。あくまでも、鍼灸院に許されるのは医療類似行為のみなのです。そのため病院とまぎらわしい名前も規制の対象となり、もちろん鍼灸院で注射を打ったり薬を処方したりすることもできません。

ちなみに、医療類似行為には2種類あります。ひとつは法律で認められているもので、もうひとつは法律上規定がないものです。法律で認められているのは、「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゅう師」「柔道整復師」などの国家資格があるものです。

これに対して、たとえば整体院などは、国家資格とは関係がなく、法律上規定がない医療類似行為となります。法律には基づいていなくても、人の健康を害する恐れがなければ、開業を許可してもらえます。

■鍼灸院の広告に関する法律

鍼灸院の広告を規制する法律は、医師法、あはき法、薬機法、景品表示法の4つです。このため、鍼灸院の看板を作ったりチラシや広告を出したりする場合は、これらの法律に違反していないかチェックする必要があります。では、具体的にどんな表現が規制の対象になるのでしょうか。

・誇大広告

「絶対に治る」「究極の施術法」「最高の技術」このような表現は誇大広告とみなされ、看板や広告には使用できません。

・経歴、出身校を載せる

鍼灸院の看板や広告には、鍼灸師の経歴や出身校を載せてはいけないことになっています。

・具体的な施術内容

鍼灸院で行う具体的な施術内容を、広告に載せることはできません。どの鍼灸院も具体的な施術内容を載せたいはずですが、法律により禁止されています。

・医薬品、医療器具と誤解される表現

鍼灸院では健康食品や、健康器具を販売することもあります。この場合も、医薬品、医療器具とまぎらわしい表現は使えません。ちなみに、「癌が治る」「癌に効く」という表現は広告だけでなく、言葉でも使うことは禁止されています。また、「これを飲むだけで肩こりがなくなります」というような表現も規制の対象となります。

■広告に掲載できる表現

鍼灸院は医療機関ではないため、「改善する」「和らぐ」「緩和する」という表現なら使うことができます。「関節の動きをよくする」「スムーズに歩ける」といった表現も許されています。

また、病院で使われるような「診察時間」「休診日」などの表現も、鍼灸院では使うことができません。使えるのは、「営業時間」「定休日」といった表現です。また、「患者」という言葉も使ってはいけないことになっています。

その代わり、「お客様」「施術を受けた人」などは使えます。健康食品や健康器具を販売する場合は、「これを飲めば治る」といった表現は使うことができません。健康食品であれば、「栄養補給」「健康維持」であれば問題ないでしょう。

ちなみに、ここに挙げた使ってはいけない表現は、すべて看板、広告、チラシなどに限ったものです。そのため、ホームページではまた法整備が進んでおらずあいまいになっています。

たとえば、広告では禁止されている鍼灸師の経歴や出身校も、ホームページなら掲載できますし、施術内容や効能・効果についても掲載することが許されています。このため、チラシなどで鍼灸院を知ってもらい、URLやQRコードを載せて、パソコンやスマホでホームページを見て詳しく知ってもらうのが、効率のよい宣伝方法です。

■鍼灸院内部の規定

鍼灸院は大きく分けて施術室と待合室に分かれますが、このうち施術室は6.6平方メートル以上のスペースが必要です。また、施術室の面積の7分の1以上のスペースを外気に触れさせるか、換気装置があることが条件となっています。さらに、器具や手を消毒する設備も必要です。

待合室は3.3平方メートル以上のスペースが必要ですが、このほか各自治体によってルールが決められている場合もあります。ちなみに、鍼灸院は規定のスペースさえ確保できれば、自宅で開業することもできます。

自宅なら、テナントを借りるよりかなり安く開業できます。家賃もいらないし、内装など初期費用もあまりかけずに開業できるのも大きなメリットです。

■鍼灸院開業に適した場所とは

鍼灸院を開業するには、どんな場所がいいのでしょうか。もちろん、駅に近い場所だとか、人通りの多い場所なら言うことはありません。しかし、鍼灸院の大きさに比べてあまりに客数が多いと、さばききれないといった問題も発生します。

そのため、大きな駅のそばよりは、少し小さい駅のほうが適しているかもしれません。また、開業する場所を選ぶには、わかりやすい場所、通いやすい場所であることも大切です。鍼灸院が評判になれば、通っている人のすすめで行ってみようと考える人もいます。

そんなとき、住所だけを聞いて、いざ行こうとするとわかりにくいというのでは困ります。また、駅から遠かったり、電車を降りたら、今度はバスに乗って行ったりするような場所では通うのに不便です。鍼灸院を開業するには、こういった問題も念頭においてテナントを探しましょう。

■リピーターを増やすには

鍼灸院の経営を安定させるには、リピーターの確保が重要です。そのためには、リピーターになると得をする何かがあると、自然とリピーターが増えていきます。たとえば、回数券を用意して、10回分の料金で12回施術できるといったものです。

また、友人を紹介したら何らかのサービスがつくようにすると、友人を誘ってくれる人も出てくるでしょう。たとえば、紹介した友人が5回通ったら、紹介者の施術を1回無料にするなどの特典をつけるのもいいアイデアです。また、特定の客層をターゲットに、営業方針を決めてもいいでしょう。

たとえば、社会人の利用を増やすなら、夜8時まで開業すると仕事帰りの会社員を狙うことができます。女性の利用を増やしたいなら、内装をきれいにしたり、アロマを焚いたりするといいかもしれません。女性の利用者が増えるかどうかは、内装や店の雰囲気によって大きく左右されます。

 

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