近年、鍼灸の世界では女性鍼灸師の需要が増えており、女性の中にも鍼灸師を目指す人が多くなっています。女性鍼灸師が増えている背景には、どのような事情があるのでしょうか。ここでは、女性鍼灸師が開業して成功した例もご紹介します。

■女性が鍼灸師になるには

女性が鍼灸師になるには、男性と同様に、鍼灸師を養成する専門学校に通って3年間習得すれば、「はり師」と「きゅう師」の国家試験を受験する資格が得られます。あとは国家資格を取得すれば、同時に開業権が付与されるので、自由に開業することができます。最近では女性鍼灸師が開業する鍼灸院が増えていますが、実は鍼灸院にかかる必要があるのは、男性よりもむしろ女性のほうが多いくらいなのです。

多くの場合、女性は妊娠と出産を経験し、閉経後は更年期障害など、女性特有の症状を発症しやすくなります。これらの症状は現代医療ではなかなか改善せず、むしろ鍼灸療法のほうが向いているのですが、鍼灸師は男性が多いので、鍼灸院に行くことを躊躇する女性も少なくありません。また、女性には生理不順や生理痛、子宮の病気など、男性には理解しにくかったり、話しにくかったりする症状もあります。

これらの状況から、女性鍼灸師が開業すると女性が通いやすいため、人気店となるケースが多いのです。女性の場合は女性特有の症状だけでなく、美容鍼灸や鍼灸による不妊治療の需要もあるため、女性鍼灸師が開業するとかなり将来が明るいのです。最近では、女性鍼灸師やレディース鍼灸院が、メディアに取り上げられることも多くなったので、ますます注目を集めています。

■女性鍼灸師の成功例

「鍼灸院院長の女性:Aさん」

Aさんは出産を機に長年勤めた会社を退職し、鍼灸師の資格を取得して女性のための鍼灸院を開業しました。Aさんが医療系に進もうと思ったのは、自分自身が就職や結婚、妊娠、出産、子育てという女性特有のライフサイクルの中で、心身の不調を抱えたことがきっかけでした。鍼灸院に通うことで不調が改善していき、医療系を目指すことにしたのです。

特に妊娠中や出産後に薬の服用をためらっていたときに、鍼だけで元気になったことと、そのときの鍼灸師が当時では珍しい女性であったことから、自身も鍼灸師になろうと決意したのです。家庭と鍼灸院の両立はそれほど大変だとは感じないものの、家族と過ごす時間の配分で苦労していると言うAさん。

予約の関係で子供の学校行事に参加できないことがあるなど、開業して困る場面もないわけではありません。それでも仕事に打ち込むAさんは、いろんな心身の不調に対応できる鍼灸のすばらしさを知ってもらい、その技術を使って、女性鍼灸師だからできる施術を行っていきたいと考えています。

■鍼灸師に男女の差はない

鍼灸師というと男性が多いイメージですが、最近では女性の鍼灸師も増えています。鍼灸師の世界は男性だからとか女性だからといった優劣は一切なく、実力と努力しだいで大きく飛躍することができる職業です。むしろ女性であれば、女性ならではの強みを生かした施術ができます。

女性鍼灸師の一番の強みは、女性特有の病気を理解できることです。また、その悩みを患者が打ち明けやすいのも、女性鍼灸師だからこそです。生理不順や生理痛に悩んでいても、男性鍼灸師には相談しづらいものです。

しかし、女性鍼灸師なら気軽に話すことができるし、同じ女性だから悩みについてよく理解してもらえます。何かの症状で悩んでいる人にとっては、まず理解してもらえることが何よりも大切です。理解してくれない人には、それ以上のことは話そうという気になれないものです。

また、施術中には直接患者の体に触れたり肌を見せたりすることもあるため、女性の患者は女性鍼灸師のほうが安心できます。女性の中には、髪を切ってもらうのにも、男性の美容師では嫌だという人がいるくらいなので、ましてや施術となるとなおさらです。このため、女性が鍼灸師になれば、女性というだけで指名してもらえることも多くなります。

そして、女性が開業すれば、女性の患者が増えるのは間違いありません。まさに女性鍼灸師は、女性の強みを生かせる職業なのです。

■女性鍼灸師の活躍の場

女性鍼灸師が働く場所は、鍼灸院や整骨院が一般的です。しかし、最近では美容系の鍼灸院も増えており、女性客をターゲットに市場を拡大しています。美容鍼灸はエステサロンなどでも取り入れられていますが、最近では美容鍼灸専門店も出てきています。

美容鍼灸はシミやシワを取るだけでなく、体の中からきれいにしていくので、興味を持つ人も増えているようです。また、不妊や婦人病などの改善にも役立つものとして、鍼灸治療が注目されています。

多くの場合、不妊や婦人病の治療はまず病院に行きますが、病院で改善が見られなかったのに、鍼灸を受けてみたらどんどん改善していったという例が数多くあります。病院で治らなかったものが鍼灸で治れば、鍼灸のほうが効果があるということですから、見直されてくるのは当然のことと言えるでしょう。

■美容鍼灸とは

美容鍼灸とは、鍼灸により肌をきれいにしたり、しわやしみ、たるみなどを取ったりするものです。エステサロンのフェイシャルエステを鍼灸で行うようなものですが、エステサロンと違って肌の表面をケアするだけでなく、気の巡りをよくして体の中から改善していきます。つまり、美容鍼灸を受けながら、健康増進にも役立つところが、エステサロンとは大きく違うのです。

もともと、鍼灸治療を受ければ血行がよくなり肌もきれいになるので、「鍼灸治療=美容鍼灸」と言っても過言ではないのです。ちなみに、美容鍼灸には美容鍼と美顔鍼があります。美容鍼は鍼を使って全身に鍼灸療法を施すもので、美顔鍼は顔だけに施す鍼灸療法です。

ただし、鍼灸といっても顔に限っては、鍼しか使わないのが一般的なようです。というのは、お灸には痕が残るというイメージがあるからです。実際には痕が残らないお灸もあるのですが、あまり使われないようです。

■美容鍼の効果

美容鍼や美顔鍼は、しわやたるみ、肌のしみやくすみの改善に効果があります。特に美容鍼の場合は全身に鍼を打つので、肌荒れやたるみなどを総合的に改善することができます。

体の各部分は相互に干渉しあっており、顔のしみやたるみを治したいといっても、全身から影響が及んでいることもあるため、顔だけに鍼を打ってもあまり改善が見られない場合もあります。全身に鍼を打てば、美顔効果があるだけでなく、全身の経絡の流れが改善されるので、総合的に健康な体になっていくのです。

■鍼灸による不妊治療

現在、不妊治療はかなり進んできましたが、それでもなかなか子供を授からない方もいます。不妊の原因は男性にも女性にもあり、その割合はだいたい半々だということです。もちろん男性の不妊治療も鍼灸で行うことができますが、ここでは女性の場合について見ていきましょう。

鍼灸による不妊治療は、生殖機能と関連する経穴に鍼を打つことによって行うことができます。不妊治療は長くかかる場合が多く、しかも女性は子供に恵まれないことで、針のむしろ状態にあることも少なくありません。そんな追い詰められた女性の心をわかってくれるのは、同じ女性の鍼灸師にしかできないことです。

男性鍼灸師にも女性の不妊治療はできますが、子供ができない女性の心情までわかってあげることはできません。こういうときはやはり、同じ女性として何でも話せることが非常に重要です。ときには不妊治療そのものよりも、女性が抱えている心の重荷をほどいてあげることのほうが、大切なこともあるのです。

 

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